ですから、もし「無菌人間」がいたら、たちまちウイルスや細菌に感染して命が危険にさらされるでしょう。そして実際、生まれる前の胎児は無菌状態です。そのまま生まれるわけにはいきません。
そこで私たち人間は、この世に出てくる直前、産道を通るときに母親から体内の細菌をもらい受けます。自然分娩の場合、赤ん坊が産道で飲み込んだ母親の細菌は、24時間以内に1000億個以上にまで増えるといわれます。これのおかげで、私たちは生まれてすぐに抵抗力を身につけることができるのです。
(『大便通 知っているようで知らない大腸・便・腸内細菌』辨野義己)