いずれにせよ東京裁判における11人の判事の中で、「意見書」などといった柔らかい言葉ではなく、「判決」としたためてから自らの反論を残したのはパルだけではなかったこと、さらにベルナール一人だけが本判決への「反対」を明確に綴った表題から自らの見解を書き始めていたことなどは、専門家を除けば我が国で多くの者の意識の上に戦後長らく上ってこなかったまぎれもない事実なのである。(『東京裁判 フランス人判事の無罪論』大岡優一郎)

日本近代史