人間の本来的な不幸は飢えと寒さであると、ある人は書いている。これは確かであるが、だれもあまり気にしていない。それよりも恋愛とか友情、嫉妬とか出世とか、要するに人間関係にその情熱のほとんどを使っている。文学を読んでも、映画やテレビを見ても、現代人の関心は自然的条件に対するよりも、圧倒的に人間関係に向いている。人間関係とは人間間における
情報の交換であると極論できる。これからの社会に死活的に重要なのは、広い意味における情報の取得、処理、発信なのである。(『
人間原理の宇宙論 人間は宇宙の中心か』
松田卓也)