この男には不思議な魅力があった。人間の不純性と純粋性を兼ね合わせていて、つまり、その相対性のなかに彷徨(ほうこう)をくり返していた男である。善意悪意、潔癖と汚濁、大胆と小心、勇気臆病といった相反するものを総合した人間といえるだろう。徹底して多くの人に嫌われる一方、また、多くの人に徹底して愛された男である。(『真剣師 小池重明 “新宿の殺し屋”と呼ばれた将棋ギャンブラーの生涯団鬼六

将棋