一般的にいって、自信のない
政治ほど強権を用いやすいというのは、古来の政治的定説である。政治が、国民の自発的活力を吸い上げるサイフォンの役を演じているところでは、強権の利用価値は、それほど大きくない。
権力の持ち主が、国民の支持を心の底から信じていないとき、または自己の陣営に弱みや派閥のおそれがあるような場合には、とかく対立する政治勢力に強権を発動して、必要以上の緊張感をつくり出し、それによって自らの陣営の一致強化をはかるというのは、権力を維持してゆく場合の常用手段だが、真の自立国家をねがうものは、万一にも、そうした道を選んではならないのである。(『
政治を考える指標』
辻清明)