「大きな砲弾が落ちてきて……。砲弾が落ちるっていうことがどういうことなのか、話を聞いただけではわからないと思うわ。あなたにもわからないと思う。……バラバラにされた人体。ほんとうに凄惨だった。自分の目が信じられないくらい。戦争中に気が狂ってしまった人もいるわ。
最初の冬が一番苦しかった。マイナス17度にもなったのに、薪もなければ、ストーブもなかったのよ。部屋の中でもコップの水が凍ってしまって飲めないの。私は一か月の間、手も顔も洗うことができなかった……」(2年半をサラエボで過ごしたサビナ・タビッチ 17歳)
『失われた思春期 祖国を追われた子どもたち サラエボからのメッセージ』堅達京子