死体を平気でまたいで歩くようになっていた。
 時々踏んづけて灼けた皮膚がむけて滑った。
 地面が熱かった靴底が溶けてへばりついた。
 わたしは腐ってないおばさんを冷静に選んで下駄を盗んで履く人間になっていた。
(『夕凪の街 桜の国』こうの史代)

戦争