エティ・ヒレスムはユダヤ人だ。しかし彼女が育った過程では、それは何の意味も持たなかった。彼女はユダヤ人として強制収容所に搬送され、虐殺された。しかし彼女はユダヤ人としてのアイデンティティを受け入れなかった。だが、彼女はキリスト教にも改宗しなかった。エティ・ヒレスムは自己自身の神のラディカルな形式を経験し、実行した。そこにはシナゴーグもなければ、教会も、教団もなかった。エティ・ヒレスムは非ユダヤ人として生き、ユダヤ人として死んだのだろうか。(『〈私〉だけの神 平和と暴力のはざまにある宗教』ウルリッヒ・ベック:鈴木直訳)
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