女のかがやかしい外貌は20代のなかばに衰えはじめるのであり、内面の佳妙さあるいは豊麗さをもたぬ人は、内から発する光がないので、そのまま信念の蒙(くら)さにかたむいてゆく。老いてなお明るく美しい人には、窈々(ようよう)たる情とホウホウたる心のありかたがあるにちがいないのである。(『奇貨居くべし宮城谷昌光