現代人に“なんば”を教えようとしたときに、もっともスムーズに覚えてもらう方法は、下駄を履き、腕を組んで歩かせることです。下駄をお持ちのかたはぜひやってみてください。自然とつま先着地になり、小股で肩を振って歩く感じになります。反面、腰の位置は上下動せず、水平に移動します。このときに、下駄の前の歯から前の縁へと体重が移動し、カタンと音が出ます。これを“下駄の返り”といいます。これが下駄の真骨頂です。つまり、下駄の返りを利用することで、オートマティックにつぎからつぎへと足が出てきます。こうなると、もはや“中臀筋”と“腸腰筋”といった“インナーマッスル”だけで歩くことが可能になります。「下駄は長歩きのための履物」といわれる所以です。(『オトナになってからロードバイクをはじめた人が速く走れるようになるために攻略すべき3つの局面』エンゾ早川)