その昔ツール・ド・フランスは、約2500キロを6ステージで走ったという。コースは未舗装がほとんどで、自転車が壊れても自分で修理しないとペナルティを取られた。レースは徹夜で行なわれ、変速機も禁止だった。1日400キロ以上の道のりは、トップの選手でさえ15時間以上かかり、平均速度こそ違うが、その過酷さは想像しがたい。しかし、この信じがたい距離を信じがたい状況で走り切ることを実現させたのは自転車なのだ。その情熱は時代を超えて語り継がれ、より遠くへ、より速く走るために生まれたのがロードバイクだ。(『ロードバイクの科学 明解にして実用! そうだったのか!理屈がわかれば、ロードバイクはさらに面白い』ふじいのりあき)