しかし、われわれはかんたんに「じゃまだから」という理由で他の生命の命を奪います。実は殺意が起こる瞬間、自分のこころに自分の命を害するエネルギーが生まれます。誰かに裁かれなくても、殺生をすると自分のこころに自分を破壊するエネルギーが蓄積されるのです。
かんたんにいえば、他殺は自殺行為です。そのように、自分のしたことは、かならず結果となって自分に返ってきます。他の生命が活躍する場を奪ったら、その分だけ自分の生命が活躍する場はなくなります。ですから、すべての生命を慈しむ気持ちを育てて、互いに尊重し合うことが大事だと仏教では説きます。
(『的中する生き方 役立つ初期仏教法話10』アルボムッレ・スマナサーラ)