瞑想をつづけていると、あるときから力まずに精神集中ができるようになる。リラックスしながらも心をとぎすまし、すこし離れたところから自分を観察できるようになる。それまでは四苦八苦していたのに、しだいに瞑想にのめり込んでゆく。もう施設の不備など気にならない。規則はかえっていい味方であることがわかる。あっという間に時間が流れてゆく。心は夜明けの山奥の湖のように静まりかえり、周囲の景色をあますところなく映す鏡のようになる。近づいて湖をのぞき込むと、深い底まで見える。ここまで心が澄んでくると、一瞬一瞬がじつにたしかなものになり、美しく、やすらいで感じられる。(『ゴエンカ氏のヴィパッサナー瞑想入門 豊かな人生の技法』ウィリアム・ハート:日本ヴィパッサナー協会監修、太田陽太郎訳)
ヴィパッサナー