測定器がニューロンの活動を記録しているところに、エードリアン・オーウェンは患者へ、ヘッドホンにつながれたマイクを通じて、あの決定的な指示を出したのだった。「テニスをしているところを想像してください」と。患者の女性はじっと動かない。6か月間ずっと同じ状態だ。だが、女性のニューロンは違う。コンピュータの画面には、大脳の前部に活発な活動を示す赤い炎が現れた。前運動野とぴったり一致する領域の酸素消費量が、はっきりと上昇したのだ。(『意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論』マルチェッロ・マッスィミーニ、ジュリオ・トノーニ:花本知子訳)