ここで重要なことは、こういったヨーロッパの経済人たちが決して日本の味方をしているのでもなければ、反米で団結しているわけでもないという点である。彼らは国家間の協力とか友好の本質を利害関係の均衡に見いだしているために、その均衡を欠くような、あるいは計算に入れないような経済的行為は馬鹿げているとしか言いようがないのであった。
 それは経済行為に限らず安全保障にしても、お互いの利害関係が均衡を保つべく交渉するのは政府の仕事であり、二国間に限らず多角的に戦略を練ることは常識である。
(『言挙げせよ日本 欧米追従は敗者への道松原久子