現代においては、例えば偉大な発見であるとか、偉大な事業というような大きな事がおこなわれることがある。しかしこれは、われわれの時代に偉大さを加えることにはならない。偉大というものは、特にその出発点や、その動機や、その意図のうちに存在するのだ。89年〔1789年、
フランス革命の始まった年〕には、人は祖国のため、人類のためにすべてのことをやった。帝政時代〔
ナポレオンの第一帝政〕には、光栄のためにすべてのことをやった。つまりその点にこそ、偉大の源があったのだ。現代では、結果が偉大に見える時でさえも、それは利害の観点から創られただけのものである。そしてそれは
投機に結びついている。そこに現代の特質がある。(『
月曜閑談』
サント・ブーヴ:土居寛之訳)