プライドを与えてやれ。そうすれば、人びとはパンと水だけで生き、自分たちの搾取者をたたえ、彼らのために死をも厭わないだろう。自己放棄とは一種の物々交換である。われわれは、人間の尊厳の感覚、判断力、道徳的・審美的感覚を、プライドと引き換えに放棄する。
自由であることにプライドを感じれば、われわれは自由のために命を投げ出すだろう。
指導者との一体化にプライドを見出だせば、
ナポレオンや
ヒトラー、
スターリンのような指導者に平身低頭し、彼のために死ぬ覚悟を決めるだろう。もし苦しみに栄誉があるならば、われわれは、隠された財宝を探すように
殉教への道を探求するだろう。(『
魂の錬金術 エリック・ホッファー全アフォリズム集』
エリック・ホッファー:中本義彦訳)