【小林さん、私はね22歳まで日本人だったんですよ、岩里政男という名前でね】。
 私は日本人として、非常に正統な日本教育を受けた。後に中国の教育も受け、アメリカにも学びましたが、【私の人生に一番影響を与えたのは、この日本時代の教育だったんです】。
 日本の思想、伝統、文化といったものの影響は、私の中では非常に大きい。日本の古典もよく読みましたよ。『古事記』を読み、それから本居宣長の『玉勝間』を紐解き、『源氏物語』や『枕草子』、『平家物語』などに至るまでね。
 岩波文庫なども読み漁って、当時700冊以上は持ってました。日本の思想家や文学、たとえば西田幾多郎、和辻哲郎、夏目漱石、倉田百三の『出家とその弟子』などは熟読しました。私は『出家とその弟子』に出てくる親鸞和尚の「すべてが、よかった」という、その境地に大変感銘を受けてね、親鸞和尚が大好きだった。
(『李登輝学校の教え』李登輝、小林よしのり

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