昭和3年(1928年)3月12日、岩波書店の少年店員80名と、その向かいにあった巌松堂という書店の少年店員42名がストライキを決行した。巌松堂の小僧さんが店で年長の従業員に殴られたことを発端に、少年店員たちが団結して、封建的な雇用制度の改善を書店側に突きつけたのである。
 岩波書店、巌松堂に書店員の要求は、
・臨時雇用制度の廃止
・給料の増額
・時間外手当の支給
・寄宿舎の改善
・退職手当、解雇手当の制定
・店員を殴った者を解雇すること
・“どん”づけで呼ばないこと
・玄米飯をやめること
・畳1畳ではなく、2畳に1人の宿舎にすること
・8時間労働制にすること
・月3回の休日を与えること
 などだった。
 これらの要求がされたということは、この当時の丁稚奉公の小僧さんたちというのは、1人あたりの住居スペースが1畳しかなく、食事も玄米飯で、月に休みが3回もなかったということだろう。
 この事件は新聞でも大きく取り上げられ、社会問題にもなった。
(『教科書には載っていない! 戦前の日本』武田知弘)