人によっては殺人や強盗、強盗致死、放火などを犯した米兵の起訴率は高いから、別に問題ないではないかという見方もあるかもしれない。しかし、脅迫、詐欺、恐喝、住居侵入、強制わいせつ、強姦、傷害、暴行、窃盗などを犯しても、起訴される確率が低いという実態が、米兵の意識に及ぼす影響を考慮しなくてはいけない。
 こうした実態が米兵に、日本の法律を遵守しなければならないという意識を薄めさせてはいないだろうか。結果的に、この実態とそれに影響された米兵の意識が、後を絶たない米兵犯罪の温床となり、殺人や強盗にエスカレートする種ともなっていると考えられる。
(『密約 日米地位協定と米兵犯罪』吉田敏浩)