美子●(藤原)咲平さんはお天気ばかりではなく、色々なエピソードがあるそうね。
正彦●戦争中、陸軍に協力して風船爆弾を作った。千葉県や茨城県の海岸から、1万発ほどの風船爆弾を、時速100キロにも及ぶジェット気流に乗せて飛ばしたそうだ。この気流の厚さはたった数キロなので、直径10メートルの風船が昼と夜の気温差などにより、この帯から出ないような精巧な工夫をしたんだよ。風雨に打たれても大丈夫なように、和紙に渋柿でコーティングしてね。1割ほどはアメリカまで届いて爆発したらしい。
(『藤原正彦、美子のぶらり歴史散歩』藤原正彦、藤原美子)