筆坂●これまで防衛庁がらみの汚職は全部役人どまりなんですよ。政治家までいかない。特に軍用機は聖域にされてきた。FX(次期戦闘機)戦争と呼ばれた戦闘機の導入をめぐる商戦、ダグラス・グラマン疑獄、ロッキード事件等々、全部そうですよ。岸信介をはじめ色んな政治家の名前があがったが政治家まで操作の手が及んだことがない。ロッキード事件だって田中角栄が逮捕・起訴されたのは全日空が導入した民間機トライスター導入をめぐってのものでした。しかし、機数も金額もはるかに多かったのは自衛隊が導入した対潜哨戒機PC3でした。職務権限もこちらの方がはるかに明確だったが、不問に付された。要するにアメリカの安全保障戦略に関わるからです。(『
自民党はなぜ潰れないのか 激動する政治の読み方』村上正邦、平野貞夫、
筆坂秀世)