簡単に言うと、一見したところ人間は、おのれの存在を創り出し、おのれ自身を基礎づける自由な存在のように見えるが、他方では制約や限定に従っているもののようにも見える。それらの全体が、人間が生まれ、地上に存在する者となって以来、彼に対して与えられているものである。私はそれを人間の条件と呼ぶ。彼の自由、あるいは自分は自由であるという感情・錯覚・不安もまた同様に人間の条件の部分になっている。なぜならこのような条件においても彼は真の人間だからである。そして私は、人間が人間の条件を引き受けなくてはならない必然性に対して、儀礼がどのような関係を持つことができるかを探求したいと考える。その仕事は、人間の条件となっているあらゆるものから、できる限り解放されるように努めること、あるいはその反対に、そこに閉じこもることにおいて成立することができよう。(『
儀礼 タブー・呪術・聖なるもの』
J・カズヌーヴ:宇波彰〈うなみ・あきら〉訳)