空から轟沈」のうたうを唄ふ。ありつたけの声でうたつたつもりだつたが何故か声がつまって涙が溢れ出てきた。森さんと「出ませう」といつて兵舎の外で思ふ存分泣いた。私達の涙は決して未練の涙ではなかつたのです。明日は敵艦もろともなくなられる身ながら、今夜はにつこり笑つて酔ひ戯れていらつしやる姿を拝見したとき、ああこれでこそ日本は強いのだとあまりにも嬉しく有難い涙だつたのです。(知覧高等女学校3年 前田笙子 15歳)『群青 知覧特攻基地より』知覧高女なでしこ会編

特攻隊