「プロテスタンティズムの倫理」ことウェーバーの思想の源泉は、ルター、カルヴィン、バクスターなどの16、17世紀の宗教思想家たちの著作にあるが、彼はその解釈の中心に「天職」の概念を据えた。天職とは人生における基本的な務めであり、定められた努力をする選ばれた領域であり、そしてそれを決定したのは、ルターらによれば、神である。スラッカーたちに往々にして欠けているもの、私の息子に欠けていたと思えるものは、まさにこの天職なのだ。そしてスラッカーという概念と同じように、天職という概念も比較的最近の文化的発明である。ウェーバーが着目したように、それは、いにしえの時代やカトリックの神学には存在せず、宗教改革の産物なのである。
天職という概念の新しさは、人間の生涯の仕事を「個人の道徳的活動がとりうる最高次の形態」に変えたところにある。
(『働かない 「怠けもの」と呼ばれた人たち』トム・ルッツ:小澤英実、篠儀直子訳)
マックス・ウェーバー