一、そのとき(宇宙始原のとき)無もなく、有もなかった。空界もなく、その上の天もなかった。(中略)深く測ることのできない水は存在していたのか。
二、その時、死も不死もなかった。夜と昼のしるしもなかった。かの唯一物は自力によって風なく呼吸していた。これより他の何も存在しなかった。
三、始原の時、暗黒は暗黒におおわれた、この一切はしるしのない水波だった。空虚におおわれて現れつつあるもの、かの唯一物は、熱の力によって生まれ出た。
四、最初にかの唯一物に意欲が現われた。これは思考の第一の種子だった。詩人たちは心に探し求めて、有の始原を無に見つけた。(以下略)
(『はじめてのインド哲学』立川武蔵)
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