自分はひとりきりで、ふたたび山の上にいる。孤独がどんなに安らぎを与えるものか、わたしは忘れていた。脚に、肺に、昔の力がよみがえる。冷たい風が全身を打ちすえる。55歳のわたしは、いまにも歓声をあげそうだった。(『鳥 デュ・モーリア傑作集』ダフネ・デュ・モーリア)