鎌倉時代には、世界の宗教史上にもまったく例をみないほど、すぐれた人材が相前後して輩出して、新しい仏教を展開した。この史上の景観は、偶然に展開したのではない。武士と呼ばれる新しい階級が、これまでの貴族の権力を押しのけて台頭し、貴族と結ぶ南都北嶺の仏教をささえてきた律令体制にかわる封建体制を建設した必然の結果として、新仏教の誕生を促したからである。古い
仏教では、新しい時代の要求にはこたえられない。新しい時代は、また新しい
宗教を要求するのである。(『
鎌倉佛教 親鸞と道元と日蓮』
戸頃重基)