「ファイナルアンサー?」と、みのが迫る……カメラがぐぐっと寄る。約3秒間のアップ。画面いっぱいの、みの。驚異的な顔面圧力。窒息的な引っ張り。凄い。……現代の悪代官みたいだ。
水道メーターの談合でも、この顔を使ったんだろうか? 最終入札価格を調整する時、みのは、「ファイナルプライス?」と、言ったのだろうか。
……毎日、テレビをつけると、必ず、みのもんたが出ている。たぶん私は、親戚縁者の誰よりも頻繁にみのと会っている。いや、家族の誰よりも、かもしれない。
いやだなあ。
で、結局、私の書斎は、みの常駐型のテレビのおかげで、嫌いな上司が巡回しているオフィスみたいな感じの、容易にくつろげない空間になっているわけだが、どうだろう、ソニーあたりが、みの強制削除機能付きのテレビを開発したら、オレは買うぞ。10万までは出す。みの排除機能が付くなら、さらに5万円出す。どうだ?
(『テレビ標本箱』小田嶋隆)