沈没船内で道に迷うか、なにかとからまったダイバーは、自分の死に向かいあうことになる。ダイバーの遺体が沈没船内で多数発見されている――かわいそうなダイバーは道に迷ったまま、目の見えないまま、なにかに引っかかったまま、身動きできないまま、
恐怖のために目と口を大きくひらいていた。とはいえ、これらの危険には、奇妙な
真実がつきまとう。その危険じたいがダイバーの命を奪うことはめったにないという事実だ。むしろ、危険に対するダイバーの反応――
パニック――が、おそらくは生死を分けるのだろう。(『
シャドウ・ダイバー 深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たち』
ロバート・カーソン:上野元美訳)