彼を貫いたのはイスラエル狙撃兵のたった一発の銃弾だった。彼は叫び声を上げることもなく、そのまま息を引き取った。
 打ち砕かれたのは、彼の抵抗の意志だった。それもあっけなく、たった一発で彼は静かに死んだ。
(『パレスチナ 新版』広河隆一)