愛国=反日というのは、近代史の過程ではごく常識的な現象であった。去る反日デモ、あるいは江沢民の登場をまつまでもない。じつは1910年代から明確なかたちをとってあらわれはじめた。
1919年、北京の学生運動を皮切りに、全土にひろがった五四(ごし)運動は、そのもっとも初期、かつもっとも大きな事例である。そして満州事変をへて日中戦争で、反日運動は「抗日戦争」と名を変えて最高潮に達した。したがって「反日」の動きというのは、歴史上すでにいっそう甚だしい形でおこったことであり、われわれの祖先が、つとに経験ずみの出来事なのである。
(『中国「反日」の源流』岡本隆司)
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