18世紀まで、音楽とは基本的に生で聴くものだった。コンサート、オペラ、ダンスホール、バー。1800年代に入り、“業界”大手は楽譜の販売を始めた。人々は楽譜を買い、家に持ち帰って自分で演奏した。そのころの主流はピアノだった。その後――ありがとう、ミスター・エジソン――蝋管蓄音機が発明された。蝋に刻まれた溝をたどった針が振動して音楽を再生し、花のような形をしたスピーカーから流す。いつでも好きなときに家庭で音楽が聴ける時代の到来だ。(『シャドウ・ストーカージェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳)