日本人は山水庭園に関する世界一の造園家です。私たち西洋人は「絨毯(じゅうたん)式造園美をよし」とするいまだ未熟な世界にいる自分に気づきます。日本の天才は1ヤード[90センチ]角でも、1000フィート[300メートル]角の広さでも自由自在に植物を育て仕上げることができます。この国の庭師は、フランスのメイドや英国の四輪馬車御者と同様、今や米国の公共施設には欠かせない職業として重んじられています。自然を愛し花を崇拝した先祖の血筋を引く気高い日本版アダム[人類の祖]の同業集団は、生長する植物への深い愛情や、米国人には理解できない専門能力を受け継いできました。そしてこの国の農業はすべて芸術的で、ほとんど魔術的な庭造りをしています。(『シドモア日本紀行 明治の人力車ツアー』エリザ・R・シドモア:外崎克久訳)

日本近代史