「だから、ぼくの人生がどこに向かって行くのか、それは戦争の状況しだいなんだ。それに望みをかけるしかないんだ。
 希望は……もちろんある。残念ながら、映画の中で描かれたような恋も友情も、実際に経験することはできなかった。でも、いつになるかわからないけれど、今後、人を愛せるのなら、そういう能力がまだ残っているのなら、誰かを愛したいと思う。一番大切なことは、何が起ころうとも『人間』でいることだ。『人間』であり続けることだ……」
 17歳とは思えないドラシュコのこの成熟ぶりは何なのだろう。まるで「思春期」の原作者、詩人ブランコ・チョピッチが、ドラシュコの口を借りて何かを必死に伝えようとしているかのようだ。
(『失われた思春期 祖国を追われた子どもたち サラエボからのメッセージ堅達京子

サラエボ