ところで皆さんは「日本一の大河」といわれると、どの川を思い浮かべるだろうか。おそらく学校では、長さでは信濃川、大きさ(流域面積)では利根川と習ったはずだ。ところが、これはあまり正確とはいえない。本当は石狩川なのである。
その昔石狩川は、イシカリベツ(「非常に屈曲する川」の意味)の名のとおり、原始の姿そのままに蛇行を繰り返し、大きな石狩平野をわがもの顔で悠々と流ていた。ところがその貫禄が災いして、たび重なる氾濫をまねき、人々を苦しめてきた。
そこで、洪水をできるだけ早く海に流そうと、曲がりくねった川道をまっすぐにする改修工事が、約70年にわたって続けられた。そのため、石狩川は100キロ以上も短くされ、かつての70パーセントの長さになってしまったのである。
(『日本の分水嶺』堀公俊)