岡ノ谷●これを「
ハンディキャップ原理」と言うんです。もともと無駄なことをすることが生物学的な資質の強さを表すという考えで、ものすごく説明力の強い原理なんです。最初は冗談だと思われていたんですが、実際そういう形質を埋め込んでシミュレーションするといろいろなものが進化するというのがわかってきた。今は進化生物学ではきわめて大切な原理になっていて、それを使って、たとえば音楽の進化を説明しようという人もいますし、僕はそれを使って、言語の進化も説明しようとしているんですけど。(『
言葉の誕生を科学する』小川洋子、
岡ノ谷一夫)