年間企画「居場所を探して」で取り上げた高村正吉(60)=仮名=は前科11犯。知的障害がある。だが、障害があるがゆえに罪を重ねたのではない。社会から見放され、生活に困窮し、盗むしか生きるすべがなかったのだ。周囲の手助けが少しでもあれば、高村には別の人生があったのかもしれない。
 高村の生きざまを見ていると、障害者として生まれ、自力で福祉とつながることができなかった「責任」や「報い」のようなものを、高村自身だけが負わされている気がして、ひどく不条理に思えた。問題の本質は彼にあるのではなく、むしろ社会の側にあるのではないか。
 福祉と出合った高村は今も、なぜ周囲が支援してくれるのか理解できずにいる。
(『居場所を探して 累犯障害者たち』長崎新聞社「累犯障害者問題取材班」)

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