いつしか彼は、ほんの少しではあるが、笑顔を見せるようになった。そんな折、彼の口からショッキングな言葉が飛び出す。
「ボク、死ぬまでここで暮らしてもいい。外は怖いから」
 世の中に対して、恐怖心を抱いているのだ。外の社会よりも、自由も尊厳もない刑務所のほうが暮らしやすいとは。日本というのは、障害者にとって、そんなにも生きづらない国だったのか。一体この国の福祉は、どうなっているのか。
(『続 獄窓記山本譲司

累犯障害者