宇宙ひもは、前に紹介したひも理論の“ひも”と混同してはなりません。まったく無関係と言うわけではありませんが別物です。宇宙ひもは長さをもつ物体ですが、その断面はごく小さいものです。宇宙ひもの存在は、
素粒子のいくつかの理論で予言されています。宇宙ひもの周りの
時空は平坦です。しかしそれは、ひもの場所に端があるクサビ型の時空が切り取られたような時空で、時空そのものが平坦なのです。つまり円錐のようなものです。紙で大きな円を造り、ピザからスライスを切り出すように、その円からくさび状の部分を切り出すのです。切り取った紙片は捨て、残ったほうの紙の端を糊でくっつけると、円錐ができあがります。これは宇宙ひもが存在する時空を表わしています。(『
ホーキング、未来を語る』
スティーヴン・ホーキング:
佐藤勝彦訳)