歴史を考えるとき、モンゴルのように、それまで周縁的としか思われてこなかったもの、むしろ排除されてきたものを軸として、歴史の見かたをガラリと転回させることができる。『世界史の誕生』を読み、私はそのことに感動するのです。史料の徹底的な探索をもとに、だれも思いもしなかった方向へ歴史イメージをかえてしまう。地道な学問的努力と、史的想像力の切っ先のするどさに心を打たれるのです。(『〈狐〉が選んだ入門書山村修