この理不尽なイギリスの行為は、隣国日本に衝撃を与えました。当時、長崎でこのアヘン戦争について知ることになった若き吉田松陰は驚愕しました。平戸滞在中に松陰が読んだとされる書物に『阿芙蓉彙聞』(あふよういぶん)7冊があり、その中に「阿片始末」があります。その一文字一文字が松陰の心に刺さり、それが後の彼の言動の基礎になっています。
 日本は、直接的ではありませんが、アヘン戦争という痲薬(まやく)に関わる事件に大きな影響を受け、それがやがて明治維新につながります。歴史はあざなえる縄の如く、絡み合い、離れ、意外なところで関係を持ちながら続いていくから面白いのでしょう。(『大麻ヒステリー 思考停止になる日本人武田邦彦