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 地球の生物圏の秩序が局所的に増大すると、エントロピーは減少するが、それは地球と太陽の熱交換を計算に含めるときに生じる総体的なエントロピーの増大で相殺され、なお余りが出る。木で椅子をつくるときには、工作の過程が進むにつれて秩序のレベルは上がり、エントロピーは減少する。しかし、このときも熱力学の第二法則に反することはない。全エントロピー――われわれの体内にデンプンや糖として貯蔵されていたエネルギーの消費、労働によって消費されたエネルギーの分も含む――は増大するからである。(『宇宙が始まるときジョン・バロウ松田卓也訳)
 時間の矢の問題は、従来から熱力学第二法則と関連して論じられてきた。熱力学第二法則はエントロピーの増大法則ともよばれ、孤立系のエントロピーは増大することを示している。エントロピーが増大すると無秩序の方向に向かう。だからこの世界は、秩序だった状態から、より無秩序な方向に向かい、最終的には熱的死に向かうと予言されてきた。(『時間の本質をさぐる 宇宙論的展開松田卓也二間瀬敏史

時間論
 したがってエントロピー増大の法則は、秩序は無秩序へと移る傾向があるのに対して、無秩序はそのままで変化しない、ということに等しくなる。結論は絶対的なものではなく、非常に確率が高いというだけであるが、この確率は圧倒的に高いものである。無秩序化の傾向の方が勝るというのに賭ける方が安全というものであろう。(『冷蔵庫と宇宙 エントロピーから見た科学の地平』マーティン・ゴールドスタイン、インゲ・F・ゴールドスタイン:米沢富美子、米沢ルミ子、森弘之訳)
 生物体というものがはなはだ不思議にみえるのは、急速に崩壊してもはや自分の力では動けない「平衡」の状態になることを免れているからです。(『生命とは何か 物理的にみた生細胞シュレーディンガー:岡小天、鎮目恭夫訳)

エントロピー
 しかし、「生命」が宿っているあいだは、生物の体はずっと構造と情報の秩序を保ちつづけます。これは生命をもたない石ころや鉄の塊にはありえないことです。それらはエントロピー増大原理に逆らうことができず、壊れていく一方です。ここに生命とふつうの物質の最大の違いがあると、シュレーディンガーは考えたのです。(『死なないやつら』長沼毅)
 僕が代替エネルギーを認めないというのは、どんな代替エネルギーを使おうが、エントロピー問題には変わりがないからです。(養老)『ほんとうの環境問題池田清彦養老孟司