「ニッポンは、古き文明の極致に達している」とクリストファー・ドレッサー博士[英国の装飾デザイナー、1834-1904]が語るように、日本国民はあらゆる芸術を完成させながら、演劇についても極めてこれに近い状況に達したことは驚くに及びません。演劇は困難な時代にじっくりと堪(た)え、現在の姿(※能)に到達しました。(『シドモア日本紀行』エリザ・R・シドモア:外崎克久訳)

日本近代史
 かのABCDラインは事実上の対日宣戦布告であったと米国でもその強引さが考証されている。最終的に戦争に勝利したとはいえ英蘭にとっては歴史的大迷惑であった。
 開戦早々に、英国海軍の戦艦プリンスオブウェールズとレパルスが撃沈され、世界一難攻不落を誇ったシンガポール要塞は実質3日で陥落(かんらく)、フィリピンではマッカーサーが屈辱の夜逃げ、あげくの果てには英蘭無条件降伏と彼らの白人優越感がたたき壊されたのだ。たかが黄色人種の一国に海で怯(おび)え、空でゼロ戦に追い回され逃げ回るなど想像もしなかったろう。
 この太平洋戦争は300年も植民地支配されて虐(しいた)げられてきたアジアに自信と勇気をもたらした。
(『余命三年時事日記』余命プロジェクトチーム)
 無理やり連れてきた5人は帰した。残りは死亡したというのが金正日の言い分です。しかも日本が拉致被害者としている人たちは、拉致の時点で横田めぐみさん以外すべて大人です。そこで何かあったにせよ、横田めぐみさん以外はある部分自分の意思で北朝鮮に行っている。例えば、金正日の料理人を自称している藤本健二氏にしても自分の意思で行った。(中略)
 有本恵子さんとか松本薫さんとかもそうです。もっとも私に言わせればあの二人はすぐれて日本赤軍の問題です。もちろん北朝鮮が援助したのは間違いありませんが、日本赤軍に参加するために平壌に行った。あの二人の平壌での行動はまさに反革命的行動であり、日本赤軍のなかにとどまっていたら本当に粛清されたかもしれない。そう考えてくると、拉致問題で残っているのは唯一、横田めぐみさんだけなのです。
(『この国を脅かす権力の正体菅沼光弘
 だが虚構のおかげで、私たちはたんに物事を想像するだけでなく、【集団】でそうできるようになった。聖書の天地創造の物語や、オーストラリア先住民の「夢の時代(天地創造の時代)」の神話、近代国家の国民主義の神話のような、共通の神話を私たちは紡ぎ出すことができる。そのような神話は、大勢で柔軟に協力するという空前の能力をサピエンスに与える。アリやミツバチも大勢でいっしょに働けるが、彼らのやり方は融通が利かず、近親者としかうまくいかない。オオカミやチンパンジーはアリよりもはるかに柔軟な形で力を合わせるが、少数のごく親密な個体とでなければ駄目だ。ところがサピエンスは、無数の赤の他人と著しく柔軟な形で協力できる。だからこそサピエンスが世界を支配し、アリは私たちの残り物を食べ、チンパンジーは動物園や研究室に閉じ込められているのだ。(『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』ユヴァル・ノア・ハラリ:柴田裕之訳)
 災いは一般には【社会的】観点から解釈される。(『神はなぜいるのか?パスカル・ボイヤー:鈴木光太郎、中村潔訳)

科学と宗教
 こうして、賭けに勝ったときはそれを額面どおりに受け入れる一方、賭けに負けたときには、その理由を巧妙に見つけて説明づけてしまうことにより、ギャンブラーは、自分の賭けの勝ち負けの記録を個人的に書き換えてしまうのである。つまり、賭けの負けは、「負け」としてではなく、「勝てたはずのもの」として記録されることになる。(『人間この信じやすきもの 迷信・誤信はどうして生まれるかトーマス・ギロビッチ:守一雄、守秀子訳)

認知科学科学と宗教
 行くとき、自己より勝れた者や 自己に等しい者に会わねば
 独り堅固に行くがよい 愚者には友の資格なし(法句六一)
(『『ダンマパダ』全詩解説 仏祖に学ぶひとすじの道片山一良

ダンマパダ
 体育時間、余りにくにゃくにゃしているのを見兼ねた分隊長・唐木大尉より一発殴られた。士官教官が自ら手を出すのはよくよくのことである。
 ところが菊地は、平然としてかえって斜になって分隊長の前に擦り寄って行った。何をしているのか、変なことをするな、と思って見ていると、分隊長も不思議そうに一、二歩下がった。さらに擦り寄って殴られなかった方の右頬を突き出して「こちらもどうぞ」とやった。私たちも驚いたが、分隊長の顔も怒りのためさっと赤くなった。それより早く回りで見ていた教官たちが「貴様ッ」とばかり殴りかかっていった。
 顔の形が変わるほど殴られても「汝左の頬を打たれなば右頬をも出せ、だ。殴って気が済むなら気の済むまで殴ってもらおう」と、万事この調子なので、私の組では、精神教教育と称して彼が一番叩かれ通したが、遂に信念は曲げなかった。
(『修羅の翼 零戦特攻隊員の真情』角田和男)

日本近代史戦争
 確信とは、それがどう感じられようとも、意識的な選択ではなく、思考プロセスですらない。確信や、それに類似した「自分が知っている内容を知っている」という心の状態は、愛や怒りと同じように、理性とは別に働く、不随意的な脳のメカニズムである。(『確信する脳 「知っている」とはどういうことか』ロバート・A・バートン:岩坂彰訳)
 内閣書記官長だった富田健治風見章〈かざみ・あきら〉、首相秘書官だった岸道三〈きし・みちぞう〉、牛場友彦、一高時代からの友人である山本有三後藤隆之助〈ごとう・りゅうのすけ〉、山本は作家、後藤は京大時代から特に親しくなった友人で近衛の政治ブレーン。さらに元同盟通信の松本重治〈まつもと・しげはる〉、東京帝大文学部教授の児島喜久雄〈こじま・きくお〉、かつての近衛内閣文相だった安井英二などである。
 政治臭さが感じられないで、わずかな側近と作家やジャーナリストや大学教授ばかりが最後の宴に揃っていることがいかにも近衛らしい。(中略)
 皆は帝大病院へ入院させる手立てを考えていたが、近衛は夕方になってさらにこうまで言った。
「巣鴨行きを猶予してもらうことは、やめにしたい」
 ひとことゆっくりだが、きっぱりと言い切った。
(『われ巣鴨に出頭せず 近衛文麿と天皇工藤美代子

天皇近衛文麿日本近代史
 人は成功からは多くを学ばないものである。
 失敗のみが道を照らし、進むべき道を示してくれるのである。
(『デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術』オリバー・ベレス、グレッグ・カプラ:林康史監訳、藤野隆太訳)
藤井●プロフェッショナルということばだって、ギルド(職能組合)があって初めて存在し得るわけです。(『間脳幻想 人類の新時代をひらくキー・ワード藤原肇、藤井尚治)
 ともあれ、ここではっきりさせておかなければならないのは、一部の研究者、そして『正論』『諸君!』(2009年休刊)『WiLL』(2005年創刊)などの月刊誌、さらには諸週刊誌とくに『週刊新潮』と『週刊文春』が吉田証言の究明に取り組まなかったら、この人間による歴史の捏造は歴史の正史としてなお長く留まり続けただろう。その点で吉田清治が弄(ろう)した虚偽を覆(くつがえ)すのに最も貢献したのは、研究者で言えば、秦郁彦と韓国・朝鮮研究者で東京基督(キリスト)教大学の西岡力(つとむ)の二人である。(『崩壊 朝日新聞』長谷川熙)

朝日新聞
 なぜ過食するのか。なぜ拒食するのか。症状に関する書籍は数多く出版されているが、それらはいずれも「いかに治すか」という共通テーマのもとにつくられている。
 今回、べてるしあわせ研究所では、経験者10名(男性2名、女性8名)による「摂食障害研究班」を立ち上げ議論を重ねた。その結果浮かび上がってきたのが、「どうしたら摂食障害になれるか」という観点であった。
 いままで、「いかに治すか」に腐心しながらも結果として食べ吐きに走り、罪悪感に苛まれてきた経験者たちにとって、「どうしたらなれるか」という観点は大いに受け、議論も盛り上がった。
(『べてるの家の「当事者研究」浦河べてるの家
 市場経済というのは、「お金」という共通の尺度でモノとモノとを交換する仕組みのことだ。資本主義は、「もっと豊かになりたい」という人間の欲望によってお金を自己増殖させるシステムである。このふたつが合体した経済世界で私たちがお金を獲得する方法は、つまるところたったひとつしかない。

【資本を市場に投資し、リスクを取ってリターンを得る。】

 これだけだ。

(『貧乏はお金持ち 「雇われない生き方」で格差社会を逆転する橘玲
 この男は常に大衆を味方に持つであろう。この男は宇宙に確信を持っているように自分に確信を持っているからだ。それが大衆の気に入ることなのである。大衆は断言を求めるので、証拠は求めない。証拠は大衆を動揺させ、当惑させる。大衆は単純であり、単純なことしか理解しない。大衆に対しては、いかにしてとか、どんな具合にとか言ってはならない。ただ、《そうだ》、あるいは《そうではない》といわなければならない。(『エピクロスの園』アナトール・フランス:大塚幸男訳)
 言葉というものは、重要である。スローガン、イメージ、シンボル、ステレオタイプ、記憶の断片――すべてこれらのことは、自己や他者についての概念を形づくり、私たちの行動に影響を与える。そして言葉はたびたび誤解のもととなり、言葉から生まれた概念は歪められ、行動は悲惨で破壊的なものとなる。(『容赦なき戦争 太平洋戦争における人種差別』ジョン・W・ダワー:猿谷要監修、斎藤元一訳)
 皇国の弥栄(いやさか)祈り玉と散る
   心のうちぞたのしかりける
          潤二郎
(『いつまでもいつまでもお元気で 特攻隊員たちが遺した最後の言葉』知覧特攻平和会館編)

特攻隊
 89年のバブル崩壊から、10年以上に及ぶ長い平成大不況が続いています。企業の収益は悪化し、不良債権は積み上がり、財政赤字は拡大の一途を辿っています。しかしその間、個人が豊かになったことは、あまり指摘されていません。(中略)
 企業収益が悪化し、それでも従業員の賃金が下がらないということは、企業から従業員に大規模な所得移転が行われたことを意味します。企業の富が株主のものだとすれば、株主が損した分だけ、従業員が得をしたということです。
(『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ橘玲
 E(従業員)はシステムのために働く
 S(自営業者)は本人がシステムとなって働く
 B(ビジネスオーナー)はシステムを作り出し、所有し、管理する
 I(投資家)はシステムにお金を投資する
(『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント 経済的自由があなたのものになるロバート・キヨサキ:白根美保子訳)
 まるで3カ月の間、口からものを摂ることができず、どんなに喉が渇いても水さえ飲むことができない。いや、自分の唾液ですら飲めずに、むせてしまうのです。当然ながら鼻からの経管栄養です。
 訴えようとしても言葉にならず、叫ぼうとしても声にならない。手で表現しようにも体は動かない、という地獄のような苦しみでした。その間苦しい検査の連続です。一言も発せずに医師の意のまま送った2カ月は、生きるとは苦しみの連続であることを思い知らされました。
 自殺を考えたこともしばしばでした。死ぬ用意もしました。死のうと思えば、手段は色々あるものです。でも懸命に看護している妻や娘を思えば、死ぬわけにはいかない。自分の命は自分だけのものではないことを、こんなに実感したことはありません。死はひとりだけの所有物ではない。愛する者と共有し、いつも共鳴しているものであることを強く感じたのです。
(『露の身ながら 往復書簡 いのちへの対話多田富雄柳澤桂子
 そこから「サイクス=ピコ協定こそ中東問題の元凶」といった決まり文句が、一般向け解説でも、あるいは中東専門家が政治的な発言を行う時にも、しばしば見られるようになった。
 それではサイクス=ピコ協定をなくしてしまえば中東問題は解決するのか。もちろんそのようなことはない。サイクス=ピコ協定をなくしてそれ以前の状態に戻れるのか。もちろん戻れない。それ以前の状態にもし戻れたとして、そこに住む人々のどれだけが納得するのか。その多くは納得しないだろう。(『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛池内恵
 こんどは担架の反対側を持っていた地元の救助隊らしい中年の男が声をかけてきた。
「お連れさんは残念なことをした……」
「お連れ……さ……ん?」
 谷山はもつれる舌で、上から見下ろす中年の男に聞き返した。
「あんたが背負ってきた男だよ。残念ながらすでに亡くなっておったから、あの硬直の具合からすると、息を引き取って1日や2日は経っているはずじゃが、あんたは見捨てず、自分の命も顧みずに背負って下りてきたんだな?」
 谷山は言い知れぬ恐怖で全身を震わせながらやっとの思いで声を出した。
「もしかして……その人は……?」
 中年の男はうなずいて、谷山の顔を覗き込み静かな声で言った。
「なに言っとるんだ、赤いヤッケの男だよ……」
(『山の霊異記 赤いヤッケの男』安曇潤平)
 日本人は話がわかれば神のことと神聖なことについてむさぼるように耳を澄まして聞きます。私がこれまで会った国民の中で、キリスト教徒にしろ異教徒にしろ、日本人ほど盗みを嫌う者に会った覚えはありません。日本人はどんなけものでも神と思って拝んだりするようなことはしません。私の知るかぎりでは、大部分の者は昔の哲学者のように暮らしていて、古い時代のさる人びとを尊敬しています。太陽を拝む者も月を拝む者もたくさんいます。彼らは自然と道理に従って何ごとにも進んで耳を傾けます。犯罪や悪事を免れているわけではありませんが、しかし罪は道理に反するものだということを教えればその非を悟って理に従います。(『ザビエルの見た日本』ピーター・ミルワード:松本たま訳)

キリスト教