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 18世紀まで、音楽とは基本的に生で聴くものだった。コンサート、オペラ、ダンスホール、バー。1800年代に入り、“業界”大手は楽譜の販売を始めた。人々は楽譜を買い、家に持ち帰って自分で演奏した。そのころの主流はピアノだった。その後――ありがとう、ミスター・エジソン――蝋管蓄音機が発明された。蝋に刻まれた溝をたどった針が振動して音楽を再生し、花のような形をしたスピーカーから流す。いつでも好きなときに家庭で音楽が聴ける時代の到来だ。(『シャドウ・ストーカージェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳)
 ひねりのきいた驚きこそ、短編小説の命だ。(『ポーカー・レッスンジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳)
 それはまさしく奇跡だ。
 脳のどこか、あるいは体のどこかで、心的または肉体的な刺激――“グラスを持ち上げたい”“指を火傷しそうだから鍋を下ろさなくては”――が発生する。その刺激は神経インパルスを生み、インパルスは神経細胞(ニューロン)からニューロンへと手渡されて全身に伝達される。インパルスは、人々の多くが考えているのとは違い、電流そのものではない。ニューロンの表面の電荷がほんの一瞬だけ正から負に変わるときに生まれる波だ。インパルスの強さはつねに一定で――存在するかしないかのいずれかしかない――時速およそ400キロという驚異的なスピードを持つ。
(『12番目のカードジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳)
「エドモン・ロカールという人物を知っているかね?」
 サックスは首を振った。
「フランス人でね。1877年に生まれ、のちにリヨン犯罪鑑識研究所を設立した人物だ。IRDを指揮していたころ、私は唯一、ロカールの唱えたある原則を座右の銘としていた。“相互交換の原則”だよ。ロカールは、二人の人間が接触すれば、各々に属する物体が必ずもう一方に移動すると考えた。たとえば埃、血液、皮膚細胞、塵、繊維、金属の残留物といったものが、必ず相互に移動するとね。交換された物体を突き止めるのは難しいが、その意味を理解するのはさらに困難を極めるだろう。しかし、交換は例外なく起こり――おかげで、我々は犯人を捕らえることができる」
(『ボーン・コレクタージェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳)
 希望は一片でも持ってはいけない。監獄では、期待が死への第一歩だ。(『青い虚空』ジェフリー・ディーヴァー)
 貴君の意見には賛成しないが、それを主張する権利は全面的に支持しよう。
          ――イヴリン・ベアトリス・ホール
          『ヴォルテールの友人』(1906年)
(『ゴースト・スナイパージェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳)
 詩人が純粋なる叡智の光によって世界を理解するの対し、余人は反射光によってこれを見るにすぎない。
     ――L・D・ギルクリスト
(『死の教訓(下)ジェフリー・ディーヴァー:越前敏弥訳)
 はじめに神は高等研究計画局ネットワークを創造され、それはARPAnet(アーパネット)と呼ばれた。ARPAnetは栄えてMilnetを生み、ARPAnetとMilnetはインターネットを生み、やがてインターネットとその子孫であるUsenet(ユーズネット)のニュースグループとワールド・ワイド・ウェブが三位一体となって、神の民の暮らしを未来永劫変えた。(『青い虚空ジェフリー・ディーヴァー
「わたしたちは、耳が聞こえる人たちを“外の世界の人”と呼ぶの。でも、“外の世界の人”のなかには、わたしたちみたいな人もいるのよ」
「どういう人間たちのことをいうのかね?」
「自分の心に従って生きてる人たちのことよ」
(『静寂の叫びジェフリー・ディーヴァー
「人を死なせるには、何アンペア必要だと思いますか。交流電流で100ミリアンペア。それだけであなたの心臓は細動を起こす。あなたは死んでしまうんです。100ミリアンペアは、1アンペアのたった10分の1ですよ。電気店で売ってるごく一般的なヘアドライヤーは10アンペア消費する」(『バーニング・ワイヤージェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳)
 警察官などの子供が学習障害に悩まされる確率は、その他の職業の親を持つ場合より高い。(『死の教訓(上)ジェフリー・ディーヴァー:越前敏弥訳)
「だが、誰かが本気できみの人生を破滅させようとしたら、きみにできることは何一つない。人はコンピューターが言うことを鵜呑みにする。コンピューターが、きみには借金があると言えば、きみには借金があるんだ。きみと保険契約を結ぶのは危険だと言えば、きみと保険契約を結ぶのは危険なんだよ。きみには支払い能力がないと言えば、たとえ現実には億万長者だとしても、きみには支払い能力がない。人はデータを信じる。真実なんか意味を持たないんだよ」(『ソウル・コレクタージェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳)
「悪いニュースを耳にした直後に重大な決断をしてはいけない」(『ウォッチメイカージェフリー・ディーヴァー
 いかにもルーキーといった風情で、なめらかな額に“意欲満々”という文字が並んでいるのが目に見えるようだった。(『12番目のカードジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳)
 ほかのすべてのものと同じように、まもなく紙幣にもタグ――RFIDが付くようになるに違いない。すでに導入している国もある。銀行は、どの20ドル札がどのATMや銀行から誰の手に渡ったか、追跡することができる。(『ソウル・コレクタージェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳)
 人は敵対する相手によって定義され、力を与えられるものだ。(『スキン・コレクタージェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳)
 真実を追求する時が来た。
 事情聴取や取り調べにおけるキネシクス分析のプロセスは、“ベースライン”を見きわめることから始まる。ベースラインとは、分析対象が事実を語っているときに示すボディランゲージの目録のようなものだ。両手をどの位置に置くか、答えるとき視線をどちらに向けるか、その方角をどの程度の頻度で見るか、唾を呑みこんだり咳払いをしたりといったことを繰り返すか、“えーと”といった間投詞を頻繁に使うか、爪先で床を叩いたりするか、背を丸めるか、身を乗り出すようにするか、答える前にためらうか。
(『ロードサイド・クロスジェフリー・ディーヴァー池田真紀子訳)
 つまらない男だとペルは思った。自分以外のあらゆるものに支配されている。(『スリーピング・ドールジェフリー・ディーヴァー
 貴君の意見には賛成しないが、それを主張する権利は全面的に支持しよう。
   ――イヴリン・ベアトリス・ホール『ヴォルテールの友人』(1906年)

(『ゴースト・スナイパー』ジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳)

 タミーの態度には、ほかにも変化があった。声が高くなり、髪を指先でもてあそび、口や鼻に触るという“防衛的しぐさ”を見せた。さらに、必要もないのに本題から離れた話を付け加え、無意味なおしゃべりを続け、過度に一般化するような発言(“誰でも知ってることですよね”)をした。これらは、嘘をついている人物の典型的な行動だ。(『ロードサイド・クロスジェフリー・ディーヴァー池田真紀子訳)