どの『般若経』にも次のことがくり返し述べられている。菩薩がたとい無数の人々を解脱に導いたとしても、じつはいかなる人も解脱にはいったわけではないし、解脱に導いた菩薩がいるわけでもない、と。菩薩に、自分は菩薩だ、という観念があり、他人を迷える人だとする観念があれば、彼は菩薩ではない。それはとらわれの心であり、区別する心である。(『空の論理「中観」 仏教の思想3』梶山雄一、上山春平
 身体性認知科学という分野では、触覚が、私たちの意思決定や心のあり方に影響を及ぼしているという実験結果がつぎつぎと明らかになってきています。(中略)どうやら、ふだん何気なく行っている厖大(ぼうだい)な選択行為が、たまたま手にしていた温かいコーヒーや、洋服の着心地などに左右されているようなのです。(『触楽入門 はじめて世界に触れるときのように』アクタイル:仲谷正史、筧康明、三原聡一郎、南澤孝太)
瞑想」とはどういうことか、かんたんにご説明します。「勝手に走りまわっているこころをストップさせること」。これが瞑想です。(『ブッダの集中力 役立つ初期仏教法話9アルボムッレ・スマナサーラ
 心身は一瞬のまばたき、あるいは、電光一閃の瞬間より何倍も速く生じたり滅したりしています。それにもかかわらず、こうした速い速度で生じたり滅したりしている心身を、次々と知るのが可能な程度に追いかけて念じていれば、それに従って智慧も熟してくるので、生滅をありのままに抜け目なく知ることができるようになります。(『ミャンマーの瞑想 ウィパッサナー観法』マハーシ長老:ウ・ウィジャナンダー大僧正訳)

瞑想
 ヨーガの修行に成功すると、人を傷つけるような考えも起きないだけではなく、そのヨーガ行者の前では、相手の方も人を傷つけるような考えを一切起こさないようになる。だから、そのヨーガ行者の周りでは、誰一人として暴力的な行為も考えも起こさないようになる。
 それほどアヒンサーというのは深い内容の修行だから大変なのである。
(『呼吸法の極意 ゆっくり吐くこと』成瀬雅春)

呼吸
 軍備拡張競争は、「内閣総理大臣ノ監督」がなくなって、再び陸海両軍のあいだの抗争となった。両者が競争をつづければ、陸軍は海軍に負けまいとして、同じように海軍は陸軍に負けまいとして、それぞれが潜在敵国の脅威を説くようになった。そうなれば、日本はアメリカと戦う運命にあるのだと人びとは思い、いつかはロシアと戦うことになると同じ人びとが思うようになるのは目に見えていた。(『日米開戦の謎』鳥居民)

日本近代史
 私たちが教わった先生方が、暗黙のうちに教えていた「知」とは、技法とは違う「知」です。古いことを言うようですが、論語に書いてある「朝(あした)に道を聞かば、夕(ゆうべ)に死すとも可なり」ということです。「道を聞かば」という表現は、学問することを意味します。それを「道を聞く」という。
 もし本当に「あなたは、癌だよ」と言われたら、自分が変わってしまう。そういう体験を繰り返していけば、しょっちゅう自分が死んで生まれ変わることになります。それなら夕方、改めて本当に死んだとしても、驚くことはないだろうと、そういう意味だろうと私は思うんです。自分が変わっていくという経験を繰り返し積み重ねていっている以上は、本当に死んだって何も怖がることはないだろう。それを怖がっているのは、一度も自分が変わったことがない人だということになる。本気で変わったことがない、大きく変わったことがない。
(『養老孟司特別講義 手入れという思想養老孟司
 私たちの生命は、あたかも、大海の水を手でかこっているようなものです。そして、これを「私だ」と称しているのです。
 なるほど、自分の手でかこっているから、私の水だと言ってもいいでしょう。
 しかし、水そのものから見れば、これは大海の水です。
 手のかこいを解けば、中の水はそのまま大海の水に帰りますが、手でかこっている間も、それは常に大海の水と交流しています。
 これを交流させないでいれば、中の水は腐ってしまうでしょう。
 心の目で見れば、手でかこっていても、手を放したあとも、大海に水には少しも変わりがないということです。
(『氣の呼吸法 全身に酸素を送り治癒力を高める』藤平光一)

呼吸
 自我が破壊された時、世界が現れ出る。(『二十一世紀の諸法無我 断片と統合 新しき超人たちへの福音那智タケシ
台湾の高砂義勇隊がわが部隊に糧秣を担送していたが、彼らの律儀さには驚いたよ。自分は食べないで、担送してきた途端に死んじゃった」
 と、全羅南道の金在淵さんは語るのだった。
 その高砂義勇隊員は、ジャングルの湿地帯を通り、険しい山を越えて40キロの行程を、何日もかけて背負子で担送してきて、飢えのために死んだと説明した。
(『証言 台湾高砂義勇隊』林えいだい)

高砂族
 目も脳の一部だということはご存じだろうか? 目はいわば脳の出先機関として外に露出しており、光に対する感受性を持っている。そのおかげで私達は、外の世界で起きていることを見ることができる。(『友達の数は何人? ダンバー数とつながりの進化心理学』ロビン・ダンバー:藤井留美訳)
 歴史というのは、政治戦争などを中心に語られがちだ。「誰が政権を握り、誰が戦争で勝利したのか」という具合に。
 だが、本当に歴史を動かしているのは、政治や戦争ではない。
 お金、経済なのである。
(『お金の流れでわかる世界の歴史  富、経済、権力……はこう「動いた」大村大次郎
 ではブラック・ホールとは何だろう。それは重力源としての質量はあるのに、大きさが無限小のものである。質量の値はいくらでもよいが、ここで登場しているのは地球の1000万分の1ぐらいの重さのものである。これは小さいので地面に落下してもスルスルと地球を貫通し、北大西洋上のある地点に出て再び空に飛んでいってしまったので落下物が残っていないのだというわけである。(『相対論的宇宙論 ブラックホール・宇宙・超宇宙』佐藤文隆、松田卓也
「人に心はなく、人は互いに心を持っていると信じているだけである」(『ロボットとは何か 人の心を映す鏡』石黒浩)
 脱税の方法には、実はふたつしかありません。
 売り上げを抜くか、経費を水増すかです。どんな複雑な方法を使った脱税も、突き詰めればこのふたつに集約されます。
(『お坊さんはなぜ領収書を出さないのか大村大次郎