たとえば、地面に根をはって生きている植物を見て、私たちはつい、植物は「動けない」と考えてしまいがちです。しかし植物は、むしろ積極的に「動かない」ことを選んだのです。植物は、生きている環境と一体化して、その環境(光、温度、水分など)をとても上手に利用しています。(『これでナットク!植物の謎 植木屋さんも知らないたくましいその生き方』日本植物生理学会編)
「闇のなかでしか、見えないものもあるんだよ」(『風の影』カルロス・ルイス・サフォン:木村裕美訳)
 不幸というものは、傍観者であるか、当事者であるかによって、見え方はまったく異なる。(『ジェノサイド』高野和明)
 津波のスピードは、水深の平方根にほぼ比例して、深いところほど速く、水深4000mの深い海では時速約712kmと、まるでジェット機並の速度で四方に伝播(でんぱ)する。然し、そのスピードは、陸地が近づき水深が浅くなるにつれて、海ごと走って来た津波が海底の障害に突き当るため、急速に衰えてくる。それでも水深1000mで時速255km(秒速70m)、200mで時速160km(秒速45m)というから近海に来てからでも新幹線ぐらい、ついで普通の電車ぐらいのスピードで押し寄せて来る。
 水深が浅くなって津波のスピードが落ちて来ると、同時に津波の山と山の間がしだいに縮まり、前を進む波に、後ろから押し寄せて来る波が、つぎつぎに追いつき、覆いかぶさり、折り重なるような形になる。つまりはエネルギーが前後に圧縮される。
(『津波てんでんこ 近代日本の津波史』山下文男)
 人間はどこかで、会社なり学校なり、自分以外の誰かに動かされている環境を持っていなければいけません。何も強制されていない環境に置かれると、人間はいつの間にか、脳のより原始的な機能である感情系の要求に従って動くようになってしまいます。その結果、生活のリズムを失い、面倒なことを避けるようになり、感情系の快ばかり求める生活になる。脳は基本的に怠け者であり、楽をしたがるようにできています。(『脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める』築山節)
 昼食後に、重大な決断が待っていた――オフィスで読書するか、居間にのこって読書するか、についての。(『A型の女』マイクル・Z・リューイン:石田善彦訳)
有本●この数年の間に、では何があったのか。2010年9月に、尖閣諸島の沖で、中国の漁船と称する船が、日本の海上保安庁の巡視船に体当りをするという事件がありました。あの時は、右も左もなくほぼすべての日本国民が中国に対して怒るとともに、日本政府の対応に憤りましたね。この事件をきっかけに、名古屋では、市井の人たちも、活動家ではない、商店街の女性店主といった方々までもが、中国総領事館による大規模な土地の買収に反対する運動を展開するようになりました。
 さらに、尖閣諸島の国営化に伴って中国にある日系企業が焼き討ちされたり、小笠原等でのサンゴ密漁もあった。日本だけでなく南シナ海でもやりたい放題。のんびりしている日本人も、さすがに中国はとんでない国だということには気づいているわけです。
 でも、見えない形での日中戦争がすでに始まっているという認識には至っていません。
(『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす 日中関係とプロパガンダ』石平、有本香)
 その評判は、男性から女性へというデイヴィッドの内科的および外科的性転換が、発育上正常な子供に対してはじめて行われたことだけではなく、その症例に特別な価値を与える、確率的にきわめて珍しい状況にも由来していた。デイヴィッドは一卵性双生児の片方として生まれていた。唯一の兄弟である弟は、その実験における理想的な対照――つまりはペニスも睾丸もあり、遺伝子も同じ男性として自然に育てられた。(『ブレンダと呼ばれた少年 ジョンズ・ホプキンス病院で何が起きたのか』ジョン・コラピント:村井智之訳)
 サッカーとは、人生である。
 なぜなら、人生で起こることは、すべてサッカーでも起こるからだ。しかも、サッカーではもっと早く、もっと凝縮して起こる。つまり、人間が一生涯で経験できるものすべてが、非常に短い時間の中で起こりうるのだ。一度の人生で起こりうる美しいこと、醜いこと、すべて詰め込まれたのがサッカーなのである。
(『日本人よ!』イビチャ・オシム:長束恭行訳)
 嘘は、信じなくてはだめなのです。事実は、信じる必要がありません。たとえば、「地球は丸い」ということを「信仰」している人はいますか? 信仰する必要はないでしょう。それは事実ですからね。(『あべこべ感覚 役立つ初期仏教法話7』アルボムッレ・スマナサーラ)
「さっきのは……永遠の場所じゃない……
 そう呼べるものは……あそこで自分で見つけるしかないんだ」
(『同じ月を見ている』土田世紀)
 ところが、ウルトラマンによく似た「光の国」の使い・ゾフィが現れて、ドラマは意外な方向に展開する。「私と一緒に光の国に帰ろう」というゾフィの誘いを、ウルトラマンは断る。

 ウルトラマン「私はもう2万年も生きたのだ。地球人のいのちは非常に短い。それにハヤタはまだ若い! 彼を犠牲には出来ない」
 ゾフィ「ウルトラマン、そんなに地球人が好きになったのか! よろしい、私はいのちを二つ持ってきた。その一つをハヤタにやろう」(シナリオより)

(『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』切通理作)
 世界の成文化憲法国188のうち、平和主義と呼べる条項を備えている国家は、158カ国(84%)に及び、「日本国憲法が世界で唯一の平和憲法」という言い方は、完全に誤りである。(『いちばんよくわかる!憲法第9条』西修)
 日本では欧米で一般的とされている「183日ルール」が利用できない。欧米では年の半分、つまり183日以上滞在している国を居住地とするというルールがある。これを悪用するかたちで183日以上ひとつの国にとどまらないようにし、複数の国を渡り歩くことでどこの国にも税金を払っていない人がいるのだ。このような人を「永遠の旅行者」と呼ぶ。(『パナマ文書 「タックスヘイブン狩り」の衝撃が世界と日本を襲う』渡邉哲也)
 日本の源泉徴収制度は、課税当局から見ると大きなメリットがある。「源泉徴収義務者」という用語があるように、給与を給与所得者に支払う者は法律によって、源泉徴収分を差し引いた残額を給与として給与所得者に支払わなければならない。そして源泉徴収をした額は、原則として翌月10日までに税務署に納付する義務を負う。これは逆にいうと、当局は徴税にかかる必要なコストを源泉徴収義務者に背負わせているということでもある。(『タックス・イーター 消えていく税金』志賀櫻)