日本の知的営みは、時の権力者の意向によって、指導・監査あるいは禁止されたりしてきた。日本の司法に対する概念や社会における法律の地位・扱いは、統治者の都合のよいように変えられ、彼ら自身の振る舞いや統治方法に決定的な影響を与えることはなかった。したがって、集団生活、会社・集団への忠誠、協調的な傾向、個人主義の欠如、なきに等しい訴訟闘争など、日本の社会や文化の典型的な側面とされている事柄は、究極的には、政治的方策に起因するものであり、政治的な目的のために維持されているのである。
“多元的国家論”のモデルとなった国ぐにの権力者と異なり、日本の権力保持者は組織的に権力を行使する。その方法と目的を、有権者は究極的になんら制御(コントロール)できないのである。
(『日本/権力構造の謎』カレル・ヴァン・ウォルフレン)
現在の私は、もう桂離宮という権力にあやつられることはない。自分では、その勢力圏からぬけだしたと思っている。桂離宮にたいする無理解も、平気で書けるようになった。芸術的な感受性という点で、背のびをすることも、ひところよりはよほど少なくなっている。
こうなると、かつての自分も、かなり冷静な目で見られるようになってきた。いったい、私の言動を拘束したあの権力は何だったのか。私は、どのような権力により操作されていたのか。そういうことに興味がわいてきた。
安直なヒロイズム気分をゆるしてもらうならば、現在の私は権力から脱出してきた亡命者である。そして、この本では、亡命者の立場から祖国の内情とその歴史を書いてみたいと思っている。
(『つくられた桂離宮神話』井上章一)
こうなると、かつての自分も、かなり冷静な目で見られるようになってきた。いったい、私の言動を拘束したあの権力は何だったのか。私は、どのような権力により操作されていたのか。そういうことに興味がわいてきた。
安直なヒロイズム気分をゆるしてもらうならば、現在の私は権力から脱出してきた亡命者である。そして、この本では、亡命者の立場から祖国の内情とその歴史を書いてみたいと思っている。
(『つくられた桂離宮神話』井上章一)
ホワイトハウスから解放されると、ビルは講演巡業に出て、2001年から2012年の間に1億550万ドルを集め、クリントン財団のために数億ドルを調達した。重要なことに、ビルへの資金の最大の支払い元はアメリカ国内からではなく、元大統領を喜ばせることに熱心な――そしておそらく、アメリカの権力者への接触を求めている――外国の投資家や企業、政府からのものだった。同時期に、ヒラリーは米上院で急速に地位を高め、特に安全保障と外交政策に関する分野についての影響力と権力を身に着けていった。彼女が2008年の大統領選で民主党の公認争いに出馬した時、彼女の権力が強まるだろうとの見通しは、さらに高まった。バラク・オバマが民主党の予備選で予想外に勝利したことで、彼女の上昇機運は挫折したかに見えたが、それでも以前に比べればさらに力のある地位に落ち着いた。(『クリントン・キャッシュ 外国政府と企業がクリントン夫妻を『大金持ち』にした手法と理由』ピーター・シュヴァイツァー:あえば直道監修、小濱由美子・呉亮錫訳)
富の力は、権力の腐敗、権力への渇望、権力の掌握において発揮される。国際銀行家たちは資本の需要と供給を結び付け、次第に国際資本と信用の流れをコントロールし、ゲームのルールを作り上げていった。(『通貨戦争 影の支配者たちは世界統一通貨をめざす』宋鴻兵)
通貨戦争
通貨戦争
しかし、債権者/債務者の関係は「社会的諸関係に直接働きかける」だけにとどまらない。なぜなら、この関係はそれ自体が権力関係であり、現代資本主義のもっとも重要で普遍的な様相の一つだからである。クレジット(信用貸し)あるいは負債、そして債権者/債務者の関係はある特殊な権力関係をなし、主観性の生産と統制の特殊な様態(「経済的人間」〔ホモ・エコノミクス〕の特殊な携帯としての〈借金人間〉〔ホモ・デビトル〕)をもたらす。債権者/債務者の関係は、資本/労働、福祉国家/利用者(ユーザー)、企業/消費者といった関係に重ねあわされ、それらの関係を貫いて、利用者(ユーザー)・労働者・消費者を〈債務者〉に仕立て上げる。(『〈借金人間〉製造工場 “負債"の政治経済学』マウリツィオ・ラッツァラート:杉村昌昭訳)
「権力は相手に苦痛と屈辱を与えることのうちにある。権力とは人間の精神をずたずたにし、その後で改めて、こちらの思うがままの形に作り直すことなのだ」(『一九八四年』ジョージ・オーウェル:高橋和久訳)
ディストピア
ディストピア
その代表が、アメリカ報道界の長老で、内政と外交政策の評論家にして自由民主主義の理論家でもあった、ウォルター・リップマンである。リップマンのエッセイ集を開いてみれば、あちこちに「自由民主主義思想の進歩的理論」というような副題が見つかることだろう。
実際、リップマンはそうした組織的宣伝を進める委員会にもかかわっており、その効果を充分に認識していた。「民主主義の革命的技法」を使えば「合意のでっちあげ」ができる、と彼は主張した。すなわち、新しい宣伝技術を駆使すれば、人びとが本来望んでいなかったことについても同意を取りつけられるというわけだ。
彼はこれをよい考えだと思ったし、必要だとさえ思っていた。なぜならば「公益に関することが世論から抜け落ちている」ように、公益を理解して実現できるのは、それだけの知性をもった「責任感」のある「特別な人間たち」だけだと考えていたからである。
この理論からすると、万人のためになる公益は少数のエリート、ちょうどデューイ派が言っていたような知識階層だけにしか理解できず、「一般市民にはわからない」ということになる。こうした考え方は何百年も前からあった。
たとえば、これは典型的なレーニン主義者の見方でもあった。革命をめざす知識人が大衆の参加する革命を利用して国家権力を握り、しかるのちに愚かな大衆を、知性も力もない彼らには想像もつかない未来へ、連れていくのだとするレーニン主義者の考えと、これはそっくりではないか。自由民主主義とマルクス・レーニン主義は、そのイデオロギーの前提だけをとってみると非常に近いのだ。私の思うに、それが一つの理由で人びとは自由民主主義からレーニン主義、あるいはその逆へと、自分では転向したという意識もなしにあっさりと立場を変えてしまえるのだろう。単に、権力がどこにあるかの違いだけだからだ。
(『メディア・コントロール 正義なき民主主義と国際社会』ノーム・チョムスキー:鈴木主税訳)
メディア/プロパガンダ
実際、リップマンはそうした組織的宣伝を進める委員会にもかかわっており、その効果を充分に認識していた。「民主主義の革命的技法」を使えば「合意のでっちあげ」ができる、と彼は主張した。すなわち、新しい宣伝技術を駆使すれば、人びとが本来望んでいなかったことについても同意を取りつけられるというわけだ。
彼はこれをよい考えだと思ったし、必要だとさえ思っていた。なぜならば「公益に関することが世論から抜け落ちている」ように、公益を理解して実現できるのは、それだけの知性をもった「責任感」のある「特別な人間たち」だけだと考えていたからである。
この理論からすると、万人のためになる公益は少数のエリート、ちょうどデューイ派が言っていたような知識階層だけにしか理解できず、「一般市民にはわからない」ということになる。こうした考え方は何百年も前からあった。
たとえば、これは典型的なレーニン主義者の見方でもあった。革命をめざす知識人が大衆の参加する革命を利用して国家権力を握り、しかるのちに愚かな大衆を、知性も力もない彼らには想像もつかない未来へ、連れていくのだとするレーニン主義者の考えと、これはそっくりではないか。自由民主主義とマルクス・レーニン主義は、そのイデオロギーの前提だけをとってみると非常に近いのだ。私の思うに、それが一つの理由で人びとは自由民主主義からレーニン主義、あるいはその逆へと、自分では転向したという意識もなしにあっさりと立場を変えてしまえるのだろう。単に、権力がどこにあるかの違いだけだからだ。
(『メディア・コントロール 正義なき民主主義と国際社会』ノーム・チョムスキー:鈴木主税訳)
メディア/プロパガンダ
権力はかならず性を管理しようとするものだが、西洋において性衝動を型にはめようとした強権力のひとつがキリスト教であった。(『エロスと精気(エネルギー) 性愛術指南』ジェイムズ・M・パウエル:浅野敏夫訳)
性愛術
性愛術
非日常的なものとして、カリスマ的支配は、合理的支配、ことに官僚制的支配にたいしても、また、伝統的支配、わけても家父長制的および家産性的あるいは身分制的支配にたいしても、きびしく対立する。(『権力と支配』マックス・ウェーバー:濱島朗訳)
権力
権力
憲法学者は、日本社会において絶大な権力を誇っている。憲法学者の書いた基本書を信奉するのでなければ、司法試験に受からない。それどころか公務員試験ですら通らない。学界のみならず、法曹界、官僚機構、そして政界にも絶大な影響力を誇るのが憲法学者である。
しかもその憲法学者たちのコミュニティは、他の学科と比べても際立って東大法学部を頂点とするピラミッド型の権力構造が顕著だ。たとえば2015年安保法制をめぐっては、多くの国際政治学者や国際法学者が合憲と考えた。その一方で、多数の憲法学者が違憲論を展開したが、中心的な役割を担ったのは東大法学部出身の憲法学者たちであった。違憲とは言えない、という立場をとった少数の憲法学者は、ことごとく非東大系の憲法学者であった。
(『ほんとうの憲法 戦後日本憲法学批判』篠田英朗〈しのだ・ひであき〉)
しかもその憲法学者たちのコミュニティは、他の学科と比べても際立って東大法学部を頂点とするピラミッド型の権力構造が顕著だ。たとえば2015年安保法制をめぐっては、多くの国際政治学者や国際法学者が合憲と考えた。その一方で、多数の憲法学者が違憲論を展開したが、中心的な役割を担ったのは東大法学部出身の憲法学者たちであった。違憲とは言えない、という立場をとった少数の憲法学者は、ことごとく非東大系の憲法学者であった。
(『ほんとうの憲法 戦後日本憲法学批判』篠田英朗〈しのだ・ひであき〉)
さらに驚くべきは、日本の“侵略”なるものを批判し続ける反日国家・中国の毛沢東首席もが日本の戦争に感謝の言葉を述べていたのである。
昭和39年7月10日、北京を訪れた佐々木更三(こうぞう)日本社会党委員長が過去の戦争に対する中国への謝罪を口にしたとき、毛沢東はこう返したのだった。
《何も申し訳なく思うことはありません。日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらし、中国人民に権力を奪取させてくれました。みなさんの皇軍なしには、我々が権力を奪取することは不可能だったのです》(毛沢東著『毛沢東思想万歳』下巻、三一書房)
『日本が戦ってくれて感謝しています アジアが賞賛する日本とあの戦争』井上和彦
日本近代史
昭和39年7月10日、北京を訪れた佐々木更三(こうぞう)日本社会党委員長が過去の戦争に対する中国への謝罪を口にしたとき、毛沢東はこう返したのだった。
《何も申し訳なく思うことはありません。日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらし、中国人民に権力を奪取させてくれました。みなさんの皇軍なしには、我々が権力を奪取することは不可能だったのです》(毛沢東著『毛沢東思想万歳』下巻、三一書房)
『日本が戦ってくれて感謝しています アジアが賞賛する日本とあの戦争』井上和彦
日本近代史
今日の【国策新聞】にのっている記事を、一語一語そのまま書き写しておく。
(『われら』ザミャーチン:川端香男里訳)
ディストピア
「120日後に宇宙船《インテグラル》の建造が完成する予定である。最初の《インテグラル》が宇宙空間へ高高と飛翔(ひしょう)する偉大なる歴史的時間はせまっている。今を去る1,000年前、諸君らの英雄的な先祖は全地球を征服して【単一国】の権力下においた。さらにより光栄ある偉業が諸君の眼前にある。ガラスと電気の、火を吐く《インテグラル》によって、宇宙の無限の方程式がすべて積分(インテグレート)されるのである。他の惑星に住んでいる未知の生物は、おそらくまだ【自由】という野蛮な状態にとどまっていようが、諸君は理性の恵み深い【くびき】に彼らを従わせねばならない。数学的に正確な幸福をわれらがもたらすことを彼らが理解できぬとしたら、われらの義務は彼らを強制的に幸福にすることである。しかしながら、武力に訴える前に、われらは言葉の威力をためしてみよう。
【恩人】の名において、【単一国】の全員数構成員(ナンバー)に布告する――
自ら能力ありと自負するものは、すべて、【単一国】の美と偉大さに関する論文、ポエム、宣言(マニフェスト)、頌詩(オード)、その他の作品を作成せねばならぬ。
これは《インテグラル》が運搬する最初の積荷となる。
【単一国】万歳! 員数成員万歳! 【恩人】万歳!」
(『われら』ザミャーチン:川端香男里訳)
ディストピア
アメリカも大使館こそ移動していませんが、日本政府が避難区域を20キロとか30キロとかいっているあいだに、3月17日、ルース駐日大使は、福島原発から80キロ圏内のアメリカ市民は即座に避難するように勧告しています。同日、米軍も、横須賀の艦船や一部軍人、家族を安全地帯に移す「フェーズI」を発動、4ヵ月メンテナンスのため横須賀に停泊していた原子力空母ジョージ・ワシントンも米本土からきていた450名の技術者を乗せたまま、3月21日に出港、これを最後に横須賀から第7艦隊の11隻の艦船はすべて姿を消しました。
アメリカは「トモダチ作戦」と称する被災地救援オペレーションを行うといっていたので、これらの艦船は東北沖にでも向かったのかと思ったのですが、何のことはない。17日のうちに全部出航してフィリピン沖まで逃げてしまったのです。米韓合同演習のために来ていた空母ロナルド・レーガンが東北沖に姿を見せましたが、これも福島原発から125海里(230キロ)以内の海域には決して入りませんでした。これが日米同盟の実態です。
(『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘)
アメリカは「トモダチ作戦」と称する被災地救援オペレーションを行うといっていたので、これらの艦船は東北沖にでも向かったのかと思ったのですが、何のことはない。17日のうちに全部出航してフィリピン沖まで逃げてしまったのです。米韓合同演習のために来ていた空母ロナルド・レーガンが東北沖に姿を見せましたが、これも福島原発から125海里(230キロ)以内の海域には決して入りませんでした。これが日米同盟の実態です。
(『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘)
共産主義の国家では頭のいい人間は権力者の脅威になるので見つけてはいろいろと難癖をつけて、みんなの前で銃殺するのがお決まりのパターンですが、資本主義の国家では逆に頭が悪いということは大変重い罪で、その罪を償うためにこのようなさまざまな「税金」を払う必要があります。
ギャンブルは「国家が愚か者に課した税金」といわれる所以です。
(『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希)
ギャンブルは「国家が愚か者に課した税金」といわれる所以です。
(『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希)
「スー族には、ある程度、中央集権的な政治制度があった。征服者に対して短い期間、見事に抵抗したけれど、実際には10年もたなかった。ところがアパッチ族は、何百年も征服されることなく戦い続けた」。アパッチ族が生きのびたのは、「政治権力を分散して、なるべく中央集権を避けていた」からだという。(『ヒトデはクモよりなぜ強い 21世紀はリーダーなき組織が勝つ』オリ・ブラフマン、ロッド・A・ベックストローム:糸井恵訳)
インディアン
インディアン
もし日本が核武装したとき一番最初にどこを核攻撃するか。平壌や北京ではなく、ニューヨークやワシントンに飛んでくると、アメリカは本気で考えているのです。それはなぜか。「報復」という言葉があります。「目には目を。歯には歯を」つまり広島、長崎です。我々は一切意識していないが、アメリカ陸軍の刑法典には、「報復は正義」と書いてある。報復は認められ、許されるんです。我々がアメリカにやられたということで、日本がアメリカに核兵器を撃ち込むということは違法にはならない。今、日本が核を落とされた唯一の国として、本当に心から全世界の平和を求めて、核を持たないことを宣言して、崇高なる平和国家として世界に立ち向かおうとしていますが、世界はそれを信じていないというのが現実です。したがって、責任ある政治家としては、核武装を一方的に主張することはできない。(『この国のために今二人が絶対伝えたい本当のこと 闇の世界権力との最終バトル【北朝鮮編】』中丸薫、菅沼光弘)
われわれは、権力者、指導者を賞揚し、尊敬する。なぜならわれわれの中に、権勢と地位への同じ切望、支配し、命令しようとする同じ願望があるからである。(『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの手帖より 4』J・クリシュナムルティ:大野純一訳)
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