アメリカにとって日本人が犯した最大の罪は、アジア主義の旗を掲げて、有色民族に誇りをいだかせることによって、白人の誇りを貶(おとし)めたことだった。
 極東国際軍事裁判は、なによりも日本が白人上位の秩序にって安定していた、世界の現状を壊した。「驕慢(きょうまん)な民族主義」を大罪として、裁いた。
 事実、日本は白人の既得権益を壊して、白人から見ておぞましい成功を収めた。
(『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン:加瀬英明監修、藤田裕行訳)

人種差別日本近代史
 竹山道雄は児童文学の作者である以上に戦後論壇では一大知識人として群を抜く存在感があった。
 そんな竹山は左翼陣営からは「危険な思想家」とレッテルを貼られたが、その立場ははっきりしていた。語の根源的な意味における自由主義である。1936(昭和11)年の二・二六事件の後に軍部批判の文章を書くという反軍国主義であり、1940(昭和11)年にナチス・ドイツの非人間性を『思想』誌上で弾劾(だんがい)し、そしてそれと同じように敗戦後は、反米共産主義、反人民主義で一貫した。戦前戦後を通してその反専制主義の立場を変えることはなく、本人にゆらぎはなかった。日本の軍部も、ドイツのヒトラーのナチズムも、ソ連や東ドイツの共産主義体制も、中国のそれも批判した。
(『戦後の精神史平川祐弘
 なぜ、細木数子の占いや江原啓之のスピリチュアル・カウンセリングが流行るのか。不安定化した社会に多くの人びとが閉塞感を抱き、過重なストレスに対処しきれず癒しを求める先にスピリチュアリティ・ブームがあるのではないか。スピリチュアリティ研究がいうように、衣食足りて礼節を知るという具合に、自己の確立をめざす成熟社会化の兆しがスピリチュアリティ・霊性文化への再評価となっているのではないと思われる。このような社会的背景を考えたときに、スピリチュアリティが宗教の未来形になるとか、宗教文化の隘路を切り開くといった議論は、木だけ見て森を見ない議論になるのではないかと危惧してしまう。(『カルトとスピリチュアリティ 現代日本における「救い」と「癒し」のゆくえ櫻井義秀
 意味を見出そうと一生懸命考えていくと最後には意味なんてなんにもないんじゃないかと思うようになった。人生は舞台の上で、僕は幻を見ている。人生は暇つぶしだと思ってから、急に自分が軽くなって、新しいことをどんどん始められるようになった。(『諦める力 勝てないのは努力が足りないからじゃない為末大〈ためすえ・だい〉)
【大根のから揚げ】
材料(2人分)
大根…1/2本
A 白だし…80ml、水1l
片栗粉、揚げ油、塩…各適量

1 大根は皮をむき3cm角に切ってフライパンに入れ、Aを加えてフタをし、中火にかける。沸騰したら弱火にして1時間煮て、そのまま冷ます。
2 1の水気をきり、片栗粉を厚めにまぶす。
3 時間をおかず、180℃の揚げ油で転がしながらキツネ色になるまで揚げて油をきり、塩をふって器に盛る。

(『お手軽食材で失敗知らず! やみつきバズレシピ』リュウジ)

レシピ本
「文明とか人間性とかいうものは、これまで通念となっていたものとは、よほど違ったものではないのだろうか。それであのような不可解なことが起ったのではないだろうか?」――私はしばしばこういう疑念をもつ。
 あのような不可解なことというのは、ナチスによるユダヤ人殺戮である。これは言語に絶する残虐行為だった。現代には、このほかにもソ連の裁判や中共の洗脳のようなことがあり、いずれも非人間的な非合理的な、むかしからの文明の概念を覆すような現象である。後世になったら、おそらくこれが20世紀中葉の人間のあり方の一つの特色だったとされるだろう。
(『西洋一神教の世界 竹山道雄セレクションII竹山道雄平川祐弘編)
 私はよく思います。――いま新聞や雑誌をよむと、おどろくほかはない。多くの人が他人をののしり責めていばっています。「あいつが悪かったのだ。それでこんなことになったのだ」といってごうまんにえらがって、まるで勝った国のようです。ところが、こういうことをいっている人の多くは、戦争中はあんまり立派ではありませんでした。それが今はそういうことをいって、それで人よりもぜいたくな暮らしなどをしています。ところが、あの古参兵のような人はいつも同じことです。いつも黙々として働いています。その黙々としているのがいけないと、えらがっている人たちがいうのですけれども、そのときどきの自分の利益になることをわめきちらしているよりは、よほど立派です。どんなに世の中が乱脈になったように見えても、このように人目につかないところで黙々と働いている人はいます。こういう人こそ、本当の国民なのではないでしょうか? こういう人の数が多ければ国は興(おこ)り、それがすくなければ立ち直ることはできないのではないでしょうか?(『ビルマの竪琴竹山道雄
「ひとりの人間がこれほどの不運とこれほどの幸運を経験できるものなのね」デジレーは言った。(『生か、死かマイケル・ロボサム:越前敏弥〈えちぜん・としや〉訳)
「ポールの根性は見上げたものだぜ。連中全員の根性を足したってかなわないだろう」(『ガラスの鍵』ダシール・ハメット:池田真紀子訳)
 それまでは、兵士が優秀であることと、戦域でその兵士の身に起きることには、なんらかのつながりがあると確信していた。しかし、スネルがそんなふうに殺されるのを見て、私は戦争についての基本的な真実を悟った。なにもかも完璧に調整している兵士でも、悲運に見舞われることがある――それもしばしばそうなる。(『レッド・プラトーン 14時間の死闘』クリントン・ロメシャ:伏見威蕃〈ふしみ・いわん〉訳)
 じつは、事故にあいやすい色とあいにくい色があるといわれているのだ。ニュージーランドのオークランド大学やアメリカのミズーリ大学の調査報告によると、車の色によって事故率が大きく異なるという。
 事故にあいにくいのは「白」や「シルバー」。白系の色は光の反射性が高い。そのため、他車から見やすく、事故率が低いのではないかと考えられている。
「黒」も事故率が低い。黒には高級感があり、乗っている人もそれ相応の人物だというイメージがあるからか、他車のドライバーが緊張感を持ち、意識を高めて運転するからではないかと推測されている。
 逆に事故率が高いのが「青」、そして「赤」や「橙」「黄色」などの派手な色。(中略)寒色系の車は暖色系に比べて後退して見えるという特徴がある。車間距離が実際より遠く感じられて、事故が起きている可能性があるのだ。(中略)
「赤」や「橙」「黄色」などの色、特に赤を好む人は攻撃的な性格の人が多いとされる。(『眠れないほど面白い 「道路」の不思議 路線、地図、渋滞、取締り……』博学面白倶楽部)
 時代を決定し形成するのは、つねに活動的な少数である。赤や青年将校がそれをした。一般国民は左にも右にも過激派ではなく、社会の変化に対しては無色で、ただ受動的だった。それは表面の波の下の深い層として、たとえ封建的な性格をもっていたにしたところで、主動(ママ)的に歴史のあたらしい方向をきめたことはなかった。(『見て,感じて,考える竹山道雄
 その際、かき消された戦勝国としての連合国の存在と、占領軍としてのアメリカ合衆国の存在は、日本の憲法体系からは隠されたままとなった。むしろアメリカの存在について語ること自体がタブー視され、憲法外の議論であるばかりか、違憲であるとさえ言われるようになった。実態として日本の国家体制の根幹を形成するものとして確立された日米安全保障条約は、しかしそのまま憲法の枠の外に存在するものとされた。憲法体制と安保体制という二つの国家体制の柱が、お互いを十分に意識しつつ、相互に無視しあうような「表」と「裏」の関係を形成する状態が生まれた。(『集団的自衛権の思想史 憲法九条と日米安保篠田英朗〈しのだ・ひであき〉)
 当用漢字は世間で考へられてゐる様に、仮名文字論者やローマ字論者の手によつて提案され実施されたのではない。当時の国語審議会委員の大部分は保守派の国語学者、国文学者だつたのです。彼等は、国字をローマ字化した方がよいと考へてゐたアメリカの教育使節団の勧奨に遭つて、そんな事になつたら大変だといふ憂国の情から、当用漢字を制定し、それを防波堤として、それ以上の漢字追放を阻止しようと考へたのです。(『日本を思ふ福田恆存〈ふくだ・つねあり〉)
 週末や連休の各高速道路で発生する渋滞は、その6割以上が“サグ”を先頭にした自然渋滞です。一見何も障害がないところを先頭に、渋滞が発生するのです。
“サグ”とは、くぼ地のこと。高速道路が、下り坂から上り坂に差し掛かるポイントを言います。かつては、知る人ぞ知る専門用語でしたが、現在は一般常識になりつつあります。
 道路が、ドライバーが気付かないほどゆるやかな上り坂に切り替わると、意識しないうちにスピードが落ち、追いついてしまった後続車がブレーキを踏むなどして急激に速度が低下。その連鎖により渋滞が発生します。
(『高速道路の謎 雑学から知る日本の道路事情』清水草一〈しみず・そういち〉)
 おかゆの旨さに本当に開眼したのは中国においてです。中西医結合によるがん治療をこころざしての初めての訪中が1980年9月。爾来(じらい)、度重なる訪中は100回に達するのではないでしょうか。本場だけあって、中国のおかゆは種類が多いのです。そして、一流ホテルのおかゆが旨い。おかゆの旨さだけでホテルの等級を決めることができそうなくらいです。(『美味しい、おかゆ 元気なときも、調子が悪いときも。体と心が喜ぶ57レシピ』帯津良一〈おびつ・りょういち〉:検見崎聡美〈けんみざき・さとみ〉料理)

レシピ本
 でも、みそ汁は毎日食べたいものだから、ぜひ「本物のみそ」を使ってください。「本物」とは、大豆と塩と麹の原料だけでできた、みそのこと。だしや他の原材料が加わっていない、無添加のみそを選びましょう。(『みそ汁はおかずです』瀬尾幸子〈せお・ゆきこ〉)
 無水鍋を使うと「料理って、こんなに簡単だったかしら?」と思うくらいに、早く楽に調理ができます。
 炊く、煮る、蒸す、焼くのはもちろん、オーブン代りにもなって、ふたも鍋として使えるという一器多様性。
 すべてアルミ製でつなぎ目のない単純明快な作り。その上頑丈で、壊れることがいっさいありません。
 余分なものがついてないということは、手入れも簡単です。
 食材自身の水分を充分に生かして加熱するので、うまみも凝縮。
 こんなに無駄がなくて潔い鍋は、ありそうでなかなかないものです。
(『無水鍋で料理する』有元葉子)
 ねぎは切ってから約15分おくのがコツ。空気に触れると辛み成分のイオウ化合物がアリシンに変化し、血液をサラサラにする作用が強くなります。(『石原結實のいいことずくめ ねぎ決定版石原結實〈いしはら・ゆうみ〉、牧野直子)
鶏肉とカシューナッツいため:揚げた鶏肉に甘ずっぱい味がよくからみ、カシューナッツが香ばしいアクセントに。白いごはんにもビールにもピッタリ!(『かんたん絶品! タイごはん90レシピ』味澤ペンシー)

レシピ本
網焼きのチーズステーキ:ヘルシーさが人気の赤身ビーフ・ステーキ。不足するコクをチーズで補ったらとても旨いステーキに仕上がった。仕上げの蒸し焼きはアルミホイルでステーキを覆い、熱を逃さなければ簡単に調理可能だ。トーチバーナーでチーズを焦がすと見た目も味も倍増する。(『決定版! 太田潤のアウトドア料理100 自慢のメニューを厳選』太田潤)
長いものマヨ焼き:焦がしマヨネーズのコクと焼いた長いものホクホク感が絶品! 簡単なのに、こんなにおいしいなんて反則ものです(笑)。(『Farmer's KEIKO 農家の台所 一生食べたい野菜のおかず』Farmer's KEIKO)
 放っておいてもキチンと仕事を果たしてくれるダッチオーブンは、長時間煮込むモツ料理に最適な鍋だ。(『ダッチオーブン大事典』太田潤)
 農地売却でキャッシュが入ったのはいいが、中国の影に不安や危機感、疑問を持つ住民は少なくなかった。
 ある住民が、農業委員会の関係者に中国資本の存在の有無を確認すると、真顔でこう忠告されたという。
「命に気をつけろ」
 彼はあきらめ顔で言った。
「今回のことを根掘り葉掘り聞くと危ない――という警告でしょう」
 この住民は会話を録音しているという。
(『爆買いされる日本の領土』宮本雅史〈みやもと・まさふみ〉)
「保存食」はもちろん長く保存することが目的です。
 でも、それ以上のメリットがあります。
 干したり漬けたりすることで、素材がおいしくなったり、環境にとっていいことも!
(『冷蔵庫いらずのレシピ 残った食材は「干す」「漬ける」でササッと保存!』按田優子〈あんだ・ゆうこ〉)

レシピ本
 この図は、450年前の江戸の姿だ。天正18(1590)年に、徳川家康が江戸の領主になった当時の土地の状態とその地名を再現したもの。根拠の資料は中世末の約100年間、南関東を支配した北条家の氏康が統治資料としてつくらせた『小田原衆所領役帳』(1559年成立)で、所領を与えた家臣560名と、彼らが支配する825ヵ所の地名が記載されている。(『江戸・東京の地理と地名』鈴木理生〈すずき・まさお〉)
「エドモン・ロカールという人物を知っているかね?」
 サックスは首を振った。
「フランス人でね。1877年に生まれ、のちにリヨン犯罪鑑識研究所を設立した人物だ。IRDを指揮していたころ、私は唯一、ロカールの唱えたある原則を座右の銘としていた。“相互交換の原則”だよ。ロカールは、二人の人間が接触すれば、各々に属する物体が必ずもう一方に移動すると考えた。たとえば埃、血液、皮膚細胞、塵、繊維、金属の残留物といったものが、必ず相互に移動するとね。交換された物体を突き止めるのは難しいが、その意味を理解するのはさらに困難を極めるだろう。しかし、交換は例外なく起こり――おかげで、我々は犯人を捕らえることができる」
(『ボーン・コレクタージェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳)
「おお、神様!」ゾッとした表情でボームラーがいった。
「どの神様だ?」ゲーリケがたけだけしい口調でいった。
(『鷲は舞い降りたジャック・ヒギンズ:菊池光〈きくち・みつ〉訳)
 民間銀行が国際送金や証券決済などの分野でさまざまな実証実験を行っているのに加えて、注目すべきは、中央銀行までもがブロックチェーンの利用に向けて積極的な取組みをみせていることです。つまり、中央銀行では、ブロックチェーンを使って、自らがデジタル通貨(電子的な通貨)を発行する可能性を模索し始めています。
 ビットコインなどの仮想通貨が「私的なデジタル通貨」であるのに対して、中央銀行が発行しようとしているのは、公的な「中央銀行デジタル通貨」です。貨幣の歴史を振り返ってみると、その時々で利用可能な最新の技術(鋳造技術、印刷技術など)を使って貨幣が発行されてきています。このため、ブロックチェーンというイノベーションの出現に伴って、それを使った「デジタル通貨」の発行を考えることは、実は「歴史の必然」であるかもしれません。
(『アフター・ビットコイン 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者』中島真志〈なかじま・まさし〉)
 竹山は戦前も戦中も戦後も反専制主義の自由を尊ぶスタンスを一貫して変えなかった。それは竹山に知識と知力と自信と勇気があったからこそ可能だったのだと思う。戦時中には反軍部、反ヒトラーの見方を孤独な胸に秘めていたが、その見方が正しかったことが、戦後も反スターリン、反毛沢東という立場を、自信をもって、貫かせたのであろう。そしてそのために、日本の傾向的な論壇では竹山は時には「時流に反して」いかにも孤立した存在に見えた。しかしそれでも日本には竹山のような人の発言を許容する言論の自由はまがりなりにも存したのである。そしてそんな竹山を支持した寡黙な人々もいたのである。(『竹山道雄と昭和の時代平川祐弘

竹山道雄
 新しい道は地形を無視してまっすぐに敷かれるが、古い道は地形に寄り添って造られる。歩いていて気持ちいい。
 古い道沿いには新旧とりまざった家が建ち並び、時には古い商店も残っており、四つ角には庚申塔や地蔵といった野仏があり、地元に愛されている神社が顔を出す。
 そういう視点で歩き始めると、どの街でも面白くなってくる。
(『東京古道探訪 江戸以前からの東京の古道を探る歴史散歩』荻窪圭)
基本調味料でなんとかなる!(中略)
 ポン酢しょうゆ=めんつゆ(3倍希釈)2:酢1
 オイスターソース=トマトケチャップ1:しょうゆ1:みそ1+砂糖少々
 中濃ソース=しょうゆ1:ジャム(マーマレード)1+こしょう少々+酢1~2滴
(『ゆる自炊BOOK』)
 ついでながら、自動車などの解体したもの、老朽化したものをポンコツというが、このポンコツはゲンコツでなぐり、たたきこわすことから造られた語という。明治の初めごろから使われている。(『ことばの由来』堀井令以知〈ほりい・れいいち〉)
 そう考えるならば、東京には100年前の建物がほとんどないからといって、この都市はすでに過去の顔を失な(ママ)いアイデンティティを喪失したとあきらめるのは、早計に過ぎるということになる。むしろ東京では、変化に富む立地条件と、その上に江戸以来つくられた都市の構造とが歴史的、伝統的な空間の骨格を根底において形づくっているのであり、それと都市の中身を構成する新旧織り混ぜた種々な要素とが巧みに混淆し、世界にも類例のないユニークな都市空間を生み出しているといえるのである。(『東京の空間人類学』陣内秀信)
 古老の語りや古い新聞は、思いのほか役に立った。清流と戯れた話もあるが、暗渠化直前の桃園川は、汚く面倒なドブにすぎない。しかし、そのような川をこしらえたのも我々だ。そこにはさまざまな感情が渦巻いていた。どんな「ドブ」にもものがたりがあり、地形が記憶を紡ぎ出す。過去と現在、街の裏と表、昭和と自分、生と死などが交錯する場所が暗渠だった。(『暗渠マニアック!』吉村生〈よしむら・なま〉、高山英男)