なかには、新聞もインターネットも見ない、ニュースはテレビだけという人もいるでしょう。しかしテレビのニュースは、ほとんど信頼性がないと思ったほうがよい。ニュースの中身、分析、意味づけという点で、非常に確実性が低い。インターネットの信頼できるサイトでもいいし、新聞でもいいし、メールマガジンでもいい。何でもいいから、テレビ以外からニュースを集めるようにしてください。(『日本人が知らない世界と日本の見方 本当の国際政治学とは中西輝政
 現状、若手芸人が求められている役回りは、イジメ被害者の「モガキ」だ。で、その七転八倒を、われわれは「笑い」として消費している。要するに、われわれの社会は、誰かが恥をかいたり、痛い目に遭ったりしている姿を大勢で眺めて笑うという、集団リンチにおける爆笑発生過程みたいなものを産業化しているわけだ。でなくても、お笑いの世界は、新人部員に裸踊りを強要する体育会系や、準構成員を家畜扱いする暴力団組織と同質のサル山構造でできあがっている。(『テレビ救急箱小田嶋隆
 鹿肉料理に使われるレシピやハーブ類、ワインや調理法さえあれば、古靴だって美食家を満足させることだろう。(『チャーリーとの旅ジョン・スタインベック:竹内真訳)
 一行は(※広島の原爆)資料館に入った。約1時間かかったというから、長い方である。(※同館の平均の見学時間は30~40分)
 チェは、館内のさまざまな原爆による被害の陳列品を見るうちに、見口氏(※広島県の外事担当)に英語でいった。
「きみたち日本人は、アメリカにこれほど残虐な目にあわされて、腹が立たないのか」
(『チェ・ゲバラ伝三好徹

ゲバラ
 講談は読むという。
 義太夫は語るという。
 落語は話すという。
 長唄は唄うという。
 この差を楽しむだけでも日本の芸能は面白い。
(『タレントその世界永六輔
 子どもたちのなかには養女がいます。メムナちゃんといいます。妻エリザベスさんの姉の娘です。
 3歳になるメムナちゃんですが、彼女もまた、反政府軍によって右手を切り落とされていました。
(『ダイヤモンドより平和がほしい 子ども兵士・ムリアの告白後藤健二

少年兵
 一貫して勝つ人間には、他人とは違った思考力があるのだ。(『ゾーン 相場心理学入門』マーク・ダグラス:世良敬明訳)
 島に隔離されると、サイズの大きい動物は小さくなり、サイズの小さい動物は大きくなる。これが生物学で「島の規則」と呼ばれているものだ。(『ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学本川達雄
 東京・地下鉄大手町駅から歩いて1分、ビジネス街の一角に平将門の首塚が祀られています。そばにある三井物産の役員室は、全部そこにお尻を向けないように設計されています。つまりエリートビジネスマンが平将門の霊力を信じて畏れているということです。これは1000年単位で続いている迷信ですから、相当に強く洗脳が維持されていると言えます。(『スピリチュアリズム苫米地英人
「だが、ぼくにとっては他人のことは自分のことなんだ」(『スカラムーシュラファエル・サバチニ:大久保康雄訳)
 人は人によってしかるべき位置にさだめられる。(『奇貨居くべし宮城谷昌光
 ――この世には、目にみえぬ位階がある。(『奇貨居くべし宮城谷昌光
「人は、生きていることを、他人とはちがう表現において証拠立てよ」(『奇貨居くべし宮城谷昌光
「人の徳は弱者をいたわるところから発する」(『奇貨居くべし宮城谷昌光
 儒教がなぜ、楽、を尊重するのか。わかる者は稀有(けう)といってよい。(『奇貨居くべし宮城谷昌光
 人の声は、その人を生かしている魂魄(こんぱく)が立てる音である。汚れた魂魄は、汚れた音を立てる。(『奇貨居くべし宮城谷昌光
 聖人とは、神の声を聴くことのできる人をいう。
 それゆえ、予言を的中させた人も、神の声の伝達者とみなされ、聖人とよばれるのである。
 ただし卜占(ぼくせん)をおこなう者は聖人とはよばれない。かれらは聖職者であり官人でもあったのだが、一種の技術者とみなされ、その技術に伝統があるがゆえに、かれらの予言は有識者を驚倒させない。
(『奇貨居くべし宮城谷昌光
「寿春(じゅしゅん)の春平〈しゅんぺい〉さんは物堅い。あくどい売買をしたことを、いちどもきいたことがない」
 諸国の賈人(こじん)のなかで、父がほめたのは、春平ただひとりである。
(『奇貨居くべし宮城谷昌光
 苦しみに遭遇したとき、その苦しみからすみやかにのがれようとするから、かえって苦しみに捉(とら)えられる。
 ――いっそ苦しみを満喫(まんきつ)してやれ。
 と呂不韋〈りょふい〉はおもった。
(『奇貨居くべし宮城谷昌光
「青という色がある。その色は藍(あい)という草から取るが、藍よりも青い。人は青になりうるのだ」(『奇貨居くべし宮城谷昌光
 が、この呂不韋〈りょふい〉の師だけは、みなうつむいて歩いているのに、まなざしが高い。(『奇貨居くべし宮城谷昌光
「天下に名が知られるようになったら、天下とともに仁(じん)を楽しめ。天下に名が知られなければ、塊然(かいぜん)として天地のあいだに独立して、畏(おそ)れてはならぬ」(『奇貨居くべし宮城谷昌光
 道家(どうか)では、
「衆の力と知恵」
 が尊重される。王に万能を求めるより大衆に依存するほうが国家は安定しやすい。
(『奇貨居くべし宮城谷昌光
 戦乱という実相は、人の願望がついえる場でもある。端的にいえば、生きたいと今日願っても明日には戦場で死ぬ。そういう現実が君主から庶人まで、つねにかたわらにある。(『奇貨居くべし宮城谷昌光
 アメリカ中国は、表面的には対立していても裏の情報世界ではもともとツーカーなんです。そもそもCIAの前身OSS時代には、長官ドノバンの命令でOSS要員が延安の共産党根拠地に出向いて、対日抗戦を支援していた。60年代の中ソ対立時代も米中はあらゆる場面で結託してソ連に対抗していたし、79年のソ連アフガニスタン侵攻で、ムジャヒディンを支援しタリバン政権を後押ししたのも、米中の情報機関です。スパイマスター周恩来によって育まれた中国共産党の情報機関、中央委員会調査部は胡耀邦総書記の時代、公安部の一部と合併、国家安全部として、現在では、かつてのソ連のKGBをしのぐ巨大組織になっています。(『この国を支配/管理する者たち 諜報から見た闇の権力』中丸薫、菅沼光弘
 テロとは何か。それを客観的に定義することは困難ですが、簡単にいえば、「政治的目的をもって実行される暴力」です。テロという言葉の起源を辿れば、フランス革命にまで遡ります。(『日本はテロと戦えるかアルベルト・フジモリ菅沼光弘
 しかし現実には、工業化のための前提条件は、当時すでに十分に満たされていたのである。国を開いた19世紀半ばには、日本には貧富の極端な差はなく、富は広く分配されていた。また手工業の教育訓練を受け、学習意欲のある、というより学習熱に取りつかれた若者がたくさんいた。見事に運営された学校制度があった。総人口との比率で比較すると、ほとんどすべてのヨーロッパ諸国よりも多くの人たちが読み書きができた。
 数世紀前から国内市場が栄え、見事に張り巡らされた交通網と、それに付随する道路、運河、船の航路といった産業基盤も完備していた。資金は、贅沢を第一に考える人たち、ではなく、投資事業に意欲を持った人たちの懐の中にあった。
(『驕れる白人と闘うための日本近代史松原久子:田中敏訳)

日本近代史
 井上(ひさし)氏は、『国家の罠』について、「過去、十数年に読んだノンフィクションの中でいちばんよかった。10年前ならば10万部を軽く超えることになった。今は出版不況だけれども7~8万部は売れる。ただし、影響は部数よりもはるかに大きく、20万部くらい売れた本と同じくらいになる」と見通しを述べた。(『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源佐藤優
 言語は基本的に左脳でやっています。漢字を読むところは、側頭葉です。一方、仮名を読むところは頭頂部に近い上のほうなんです。だから左脳の上が壊れると仮名が読めなくなって、下が壊れると漢字が読めなくなる。
 面白いのは、漢字読みができなくなった人は、漫画がわからなくなることです。実は漫画は漢字と同じで、意味を表す図形だからです。それに音声を振っている。これが、吹き出しです。吹き出しは、ルビなのです。
 日本語の成立と同時に、漫画が成立してきます。絵があって詞書(ことばがき)が付いてくる。それが、いつのまにかその詞書が漫画の中では吹き出しに変わってくる。吹き出しを会話だと思っている人が多いけれど、そうじゃない。あれはルビです。あの部分は音声、音なのです。そして漫画の絵そのものが漢字なのです。
(『バカにならない読書術養老孟司池田清彦、吉岡忍)
(GHQによる)占領期間は7年ですから、そんなに長くなかったですよ。その間にやったことが、今日に至るまで続いている。いまいくらか問題になっているし、石原慎太郎さんなんかも言っていますが、主権のない時代、占領中につくられた法律は全部無効だという国際条約(ハーグ陸戦条約など)があるわけです。それは日本もアメリカも批准しています。だから、昭和27年4月28日、日本が独立した日に、それまでの占領中につくられた法律、憲法も含めてすべてこれは無効であると、全部廃止すべきであった。そして、改めて、法律の内容を吟味し、これがいいならばそのまま残せばいいし、ということでやればよかった。いま、例えば憲法改正の動きが国会でもありますが、しかし、主権のない時代に制定された法律はすべて無効だという形で、一回決断しないといけない。無効なのだから、憲法改正ではなくて、新しい自主憲法をつくるという形でないといけない。(『誰も教えないこの国の歴史の真実菅沼光弘

日本近代史
 マッカーサーにも有名な発言がある。1951年5月、米議会上院軍事・外交合同委員会聴聞会で、レイバンのサングラスが大好きなこの陸軍元帥は、「ドイツ国民は、われわれ同様、成熟した民族だが」と前置きしてから、こう証言した。「しかしながら日本人は、時間で計った場合には古いが、現代文明の基準で計った場合には、彼らは、われわれが45歳であるのに対して、12歳の少年のようなものでしょう」。(『完本 ベストセラーの戦後史井上ひさし
 長い楚(そ)の歴史のなかで、ただいちど、亡命してきた天才に政柄(せいへい)をにぎらせたことがあった。その天才とは、
呉起」(ごき)
 である。呉起が楚でおこなった改革は商鞅(しょうおう)のそれの先駆的な意義をもつ。呉起の才能は軍事にとどまらず、立法、司法、行政におよんだ。その改革が国の体質を変え、王族から庶民までの意識を刷新しおえたら、楚は天下を経営するようになったであろう。
(『奇貨居くべし宮城谷昌光

呉子
 胸のなかに風が吹き、花びらが落ちた。風とともに去った花びらもあれば、地中に淪(しず)んだ花びらもある。(『奇貨居くべし宮城谷昌光
 ――公(こう)は明(めい)を生じ、偏(へん)は闇を生ず。
 公平であることは光明を産むが、偏(かたよ)りは闇を産む、と師の孫子(※荀子)はいった。
(『奇貨居くべし宮城谷昌光
「教鞭をとりたくても、わしには鞭(むち)がない。不韋(ふい)はおのれを鞭で打たねばならない。それを勉強という。それをやるか」(『奇貨居くべし宮城谷昌光
 女の話をするときの男たちの目つきや口ぶりに、ほかの楽しみを話すときとはちがう、隠微な卑しさがただよう。ことばは陰(くら)い爛(ただ)れを帯び、笑いにも、澄んだ明朗さがなく、のどにかかってそこからしみでてきたような不透明さをもっている。そういうころを目撃すること自体、呂不韋(りょふい)は嫌いであった。(『奇貨居くべし宮城谷昌光
 銀行やシンクタンクが試算していますが、消費税10%になったときどうなるかというと、一時的に税収が増え、景気もある程度よくなる可能性があるといいます。これは消費税が上がる前の駆け込み需要があるからで、当然ながらそれは2~3年もしないうちに急速に落ち込んでしまう。景気はどん底になっていく。そういう試算がなされています。
 ところがその試算をどこも発表しません。なぜ発表しないのかというと、全部上から止められている。財務省から圧力がかかっている。そんな試算を発表されて、消費税増税がつぶされたら元も子もなくなるからです。
(『この国はいつから米中の奴隷国家になったのか菅沼光弘
 昔の中学校の漢文の時間で、「この自はミズカラか、オノズカラか」という質問を先生からよく受けたことがある。それは、自に二つの意味があるという理解があったためである。
 ミズカラのほうは、自分で手を下して何ごとかをするばあいに使う。これにたいしてオノズカラは、自分が手を下さないでも、そのことが自動的に運ぶばあいに用いられる。もうすこし詳しくいえば、ミズカラには意識や努力がともなうのにたいして、オノズカラはそうした意識や努力を必要としないことをさす。もしそうだとすれば、ミズカラとオノズカラとは正反対の意味をもつことになる。
(『「無」の思想 老荘思想の系譜森三樹三郎
 道の道とすべきは、常の道に非(あら)ず。名の名とすべきは、常の名にあらず。無名は天地の始めにして、有名は万物の母なり。故に常に無欲にして以(もっ)て其(そ)の妙を観(み)、常に有欲にして以て其の徼(きょう)を観る。
 此(こ)の両者は同出にして名を異にするも、同じく之(これ)を玄と謂(い)う。玄の又(また)玄、衆妙の門なり。(『老子』)
(『老子・荘子森三樹三郎
 イスラエルの警官らが人種差別的な侮辱の言葉をアラビア語で言うのを聞いたムハンマドは、遮蔽物の陰から飛び出し、抗議しようとした。その瞬間、弾丸の雨に見舞われ、その場で亡くなった。遺体が病院に運ばれたあと、家族は息子の死の理由を明らかにするために検死を望んだが、イスラエルの所轄警察は家族に遺体を持って帰るよう命じ、検死は一切認めず、死亡原因を書いた死亡証明書を発行するのも拒んだ。(ムハンマド・ジャバーリーン、24歳)
(『シャヒード、100の命 パレスチナで生きて死ぬこと』アーディラ・ラーイディ/イザベル・デ・ラ・クルーズ写真:岡真理、岸田直子、中野真紀子訳)

パレスチナ
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と
 答える人のいるあたたかさ
(『サラダ記念日俵万智

詩歌
「とにかく、あの人の『生きたい』という思いはハンパじゃないから、みんなつい巻き込まれちゃうんですよ」
 北海道勤医協(きんいきょう)病院で医師(研修医)を勤める舘野(たての)知己は、そういって笑った。
(『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち渡辺一史

障害介護
 アメリカも大使館こそ移動していませんが、日本政府が避難区域を20キロとか30キロとかいっているあいだに、3月17日、ルース駐日大使は、福島原発から80キロ圏内のアメリカ市民は即座に避難するように勧告しています。同日、米軍も、横須賀の艦船や一部軍人、家族を安全地帯に移す「フェーズI」を発動、4ヵ月メンテナンスのため横須賀に停泊していた原子力空母ジョージ・ワシントンも米本土からきていた450名の技術者を乗せたまま、3月21日に出港、これを最後に横須賀から第7艦隊の11隻の艦船はすべて姿を消しました。
 アメリカは「トモダチ作戦」と称する被災地救援オペレーションを行うといっていたので、これらの艦船は東北沖にでも向かったのかと思ったのですが、何のことはない。17日のうちに全部出航してフィリピン沖まで逃げてしまったのです。米韓合同演習のために来ていた空母ロナルド・レーガンが東北沖に姿を見せましたが、これも福島原発から125海里(230キロ)以内の海域には決して入りませんでした。これが日米同盟の実態です。
(『この国の権力中枢を握る者は誰か菅沼光弘
須田●【大韓航空機爆破事件】も不思議で、死亡者は115人となっていますが、遺体はというと一体もあがっていないのです。

菅沼●爆破現場はタイの空域でしたが、あのとき私はタイの軍隊に協力を求め、部下を派遣して爆破の真相を調べさせました。そうしたら、ある段階まで調べたときに、タイの軍当局から「これ以上調べたらあなたの命はないかもしれないからやるな」と言われたのです。まだ明らかになっていない不思議なことがあるということです。

(『日本最後のスパイからの遺言菅沼光弘、須田慎一郎)
 書物を読みはじめたころ、私は東洋という語に心を惹かれた。岡倉天心の『東洋の理想』や、前田利鎌の『宗教的人間』、久松真一の『東洋的無』などに触発されたものであろうが、しかし私の内にある東洋は、岡倉のようにインドを含むものではなく、また前田、久松のように禅に傾くものでもない。もっと一般的な生活の中にある東洋、東洋のもつ美意識、節度というべきものを、その生活に即して考えてゆきたい。そこに真実の東洋があるという考えであった。
 それはたとえば、わが国の『万葉集』と、中国の古代歌謡である『詩経』の表現に見られる東洋的な自然観、その自然の中に息づく生活の節度というべきものに見出される。
(『回思九十年白川静
 コミュニケーションの面から見れば、話しことばは、まずなによりも他者への働きかけです。相手に届かせ、相手を変えること。変えるといっても、行動を変えさせる、持っているイメージを変えさせるなどいろいろですが、とにかく変えることで、たんなる感情や意見の表出ではない。
 ですから、話しことばがもっともよく発せられる場合といえば、自動車が来るのに気づかないで歩いている人に「アブナイ!」とどなるときなどはその典型で、こんなときは、からだ全体が単一の目標に向かって躍り上がり、知らないうちに大ごえが出ている、というわけです。
(『ことばが劈(ひら)かれるとき竹内敏晴
 ちなみに脳のニューロンでは、軸索を電気信号が伝わる速さは、最大で秒速100メートルほどである。(『脳のしくみ ここまで解明された最新の脳科学ニュートン別冊

脳科学
 喜んで事をなし、なされた事を喜ぶ人は、幸福である。(「格言と反省」から)『ゲーテ格言集ゲーテ:高橋健二訳
 いまは日中関係も日韓関係も北朝鮮との関係もガタガタになっているけれど、その根源はどこにあるのかといえば、第一の要因は、1982年の教科書問題に発しています。これは高等学校の歴史教科書の記述において文部省が日本の中国華北への「侵略」を「進出」と書き改めさせたという報道がマスコミによって一斉になされ、この報道を受けて中国が猛然と反発抗議してきた事件です。
 しかし調べてみると、どの教科書にもそんな事実はなく、マスコミの明らかな誤報だったのですが、いろいろすったもんだしたあげく、あろうことか当時の宮沢喜一官房長官が「今後、教科書検定については国際理解と国際協調の見地から、アジア近隣諸国の感情を害さないように配慮する」と発言しました。いわゆる「近隣諸国条項」というものです。
 そもそも「侵略→進出」の誤報も、一部のマスコミが意図的にミスリードしたふしがあるのですが、そうした流れのなかで日本政府はこのときからひたすら「謝罪外交」の道を歩み始めることになりました。
(『この国の不都合な真実 日本はなぜここまで劣化したのか?菅沼光弘
「この世で始まったことはこの世で終わるやろ!」並河正夫(『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』春日太一)
 ホイップクリームやコーヒーフレッシュは乳製品ではなく、ミルク風味に加工したサラダ油です。本当のミルクは悪くなるので冷蔵庫にしまいますが、これらの加工乳は何日もテーブルの上に置いてあります。(『そのサラダ油が脳と体を壊してる』山嶋哲盛)
 このように、いかに難題であっても、数学の問題は、真か偽のどちらかに違いない。したがって、数学的真理は、いつかは必ず証明されるように思われる。
 ところが、実は、そうではないのである。不完全性定理の重要な帰結の一つは、数学の世界においても、「真理」と「証明」が完全には一致しないことを明確に示した点にある。しかも、ゲーデルは、ただ完全に一致しないという結論だけを示したわけではない。彼は、一般の数学システムSに対して、真であるにもかかわらず、そのシステムでは証明できない命題Gを、Sの内部に構成する方法を示したのである。
(『ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論高橋昌一郎
ゲーデルの仕事は、数学的議論の論理的構造をはかりしれぬほど深め、また豊かにしたのみならず、人間の理性一般における限界というものの役割を明らかに示したのです」オッペンハイマー(『ゲーデル・不完全性定理 "理性の限界"の発見吉永良正
 近代とは、“ヨーロッパが世界を制覇した時代”と言うことができるが、そのようにヨーロッパに絶対的な覇権をもたらしたもの、ということはすなわち、「近代」という時代そのものを生んだ源泉が、他ならぬ「近代科学」なのである。(『ケアを問いなおす 「深層の時間」と高齢化社会広井良典
 電話を切って私を見るとき、彼女の顔はあの表情をうかべている。ほかのひとたちがそれをどう名づけているか知らないが、私はそれを、“私は本物よ”的表情と名づけている。ということは彼女は本物で、いつも答えを知っていて、私のほうはそれより劣る人間で完全に本物とはいえない、診察室の椅子のぶつぶつした布地の感触をスラックスを通して感じることができてもだ。私はいつも尻の下に雑誌を敷いておくが、そんなことをする必要はないと彼女は言う。彼女は、自分は本物だと思っている、だから私に必要なことも必要でないことも知っている。(『くらやみの速さはどれくらいエリザベス・ムーン小尾芙佐訳)
 ギャンブルは、経済思想や経済組織の中核をなす。多くの金融関係者がこの考えをどれほど不愉快に思おうと、それが事実であることに変わりはない。(『ギャンブルトレーダー ポーカーで分かる相場と金融の心理学アーロン・ブラウン:櫻井祐子訳)
 私は今日も生きていた。単に生きていただけに過ぎなかったのではないだろうか。生物学的に生きていることの淋しさ。限りない無意味さ、味気無さ加減。(中村徳郎 25歳)『きけ わだつみのこえ 日本戦没学生の手記日本戦没学生記念会

戦争
 がんをもし絶滅することができたとしても、平均寿命を2年ないし3年延ばすことができる程度だといわれる。老年に死は必ずやってくる。その死亡原因の一つとしてがんを避けることはできない。(『がんというミステリー』宮田親平)

 おそらく、“非暴力の狂信者たち”との出合いの高揚した感情からであろう。彼は、驚くことに、安楽死を非暴力の原理にかなうと見なして、それを認める立場を取った。彼によれば、それは、身体が直面している苦しみから魂を救うことであった。(『ガンジーの実像ロベール・ドリエージュ今枝由郎訳)

ガンディー
 時間が早く進むことと、忙しくなるのは同義らしい。なぜ時間が早く進み、なぜ忙しくなったか。それは、すべてが予測されるようになったからである。
 今日一日、なにが起こるか、それがわからない。そういう日は長い。だからこそ、昭和20年8月15日は、「日本のいちばん長い日」だったのである。
(『カミとヒトの解剖学養老孟司

科学と宗教
 誰かが聞いたらびっくりするような奇声をあげながら頂上を目指す。声を出すたびに酸素がたくさん入ってくるような感じがしたからだ。もう体力は限界にきているのか、苦しさのあまり奇声をあげ、カメラ以外のものはどんどん置いていく。時間も気にならない。「単独」「新ルート」「アルパイン・スタイル」「8000メートル」、これらの言葉はもう僕の頭の中から消え、今までの厳しかった道のりも忘れ、チョモランマが見えるまでと言い聞かせながら本能だけで歩いている。自分が、もう自分でない。僕の後ろを歩いていたあいつも消えた。そして、稜線の先にわずかに尖った山が見えた。チョモランマに違いない。(『垂直の記憶山野井泰史
 劉備は、これまで考えられてきた君子とは違うタイプであり、かつて中国にいないような人だと、私は思っています。最大の非常識者であるがゆえ、あの時代の強大な孫権や曹操といった権力者に屈せず、生き延びていくことができた。それを観取したゆえに、諸葛孔明は、劉備の下につくことを選んだのかもしれません。(『三国志読本宮城谷昌光
 そのとき、リオンの言葉が頭に浮かんだ。彼の黄金率のひとつが、聞こえはじめた。「なぜまちがったかと考えるな。ただまちがいを正せばよい」(『警鐘リー・チャイルド:小林宏明訳)
 本当にあなたは自分が蛆虫(うじむし)の一変種でないと言いきれるか? あるいはつい最近宇宙から飛来したエイリアンで、目下自分が人間だと信じ込むようにマインドコントロールを受けている怪物でないと断言できるか? どこに一体自分が人間であるという、そんなに強い確信の証拠があるのだ?(『おテレビ様と日本人林秀彦
 フランス革命のスローガンである『自由・平等・博愛』は革命前からある言葉で、もとはフリーメーソンのスローガンにほかなりません。(『エンデの遺言 根源からお金を問うこと河邑厚徳、グループ現代)

フリーメイソン
 歴史的に特捜部は米国と深い関係をもっています。まず1947年、東京地検特捜部が占領下で、GHQのために働く捜査機関として発足します。
 敗戦直後は、それまで旧日本軍が貯蔵していた莫大な資材が、さまざまな形で横流しされ、行方不明になっていました。1945年10月にはGHQ自身が、東京の三井信託の地下倉庫からダイヤモンドをなんと16万カラットも接収しています。
 そうした不当に隠された物資を探しだして、GHQの管理下におくことを目的に設置された「隠匿退蔵物資(いんとくたいぞうぶっし)事件操作部」が、東京地検特捜部の前身です。
(『戦後史の正体 1945-2012孫崎享

日本近代史
 クライミングをスポーツとするなら、それは他のスポーツとは根本的に違うところがある、と山野井は思う。他のスポーツはその最もスリリングなところを人に見せられるが、クライミングはその核心部を見せることができない。そのクライミングの、最も素晴らしい瞬間を伝えることはできない。(『』沢木耕太郎)

山野井泰史
 わたしたちが、まだ山の遥かな高みにいるうちに、なんの前触れもなく荒々しい嵐が吹きつのって、頂上に達したチームメイト5人のうち、隊長のロブ・ホールをふくむ4人が、斃(たお)れた。わたしがベースキャンプにくだり着くまでに、四つの遠征隊の隊員が9人死に、その月末までにさらに3人死んだ。(『空へ 「悪夢のエヴェレスト」1996年5月10日ジョン・クラカワー:海津正彦訳)
 来年までに「日本」という国はなくなってしまい、全員が宗教団体に入らなければならなくなる。各「団体」が自治権を持つ団体連合社会に、1年かけて移行していくそうだ。(『カルトの島』目黒条)
 では【「インテリジェンス」とは何か】。これは、【今あるいは将来において何が必要なのかを把握し、そのための課題を設定して企画を立案、情報を収集・分析したもの】を指す。つまり、選別され、加工されたインフォメーションなのである。そしてこの「インテリジェンス」は意思決定者に供される。(『インテリジェンスのない国家は亡びる 国家中央情報局を設置せよ!佐々淳行